3千億年に1秒しかずれない「原子核時計」実現への道 岡山大などの研究

2019年9月13日 11:03

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トリウム229準位図(関係する基底状態及び励起状態) ①-②の順番でアイソマーを生成。今後は③に示したアイソマー状態からの光遷移を観測する計画。(画像:岡山大学発表資料より)

トリウム229準位図(関係する基底状態及び励起状態) ①-②の順番でアイソマーを生成。今後は③に示したアイソマー状態からの光遷移を観測する計画。(画像:岡山大学発表資料より)[写真拡大]

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 実用化されれば3,000億年に1秒のずれしか生じないとされる「原子核時計」という夢の技術がある。トリウム229という原子核の励起(アイソマー)状態を利用すれば可能と考えられているのだが、技術的にはまだ多くの関門が残っている。今回の研究は、直接実用化に至るものではないが、この原子核時計の実現への大きな一歩になると考えられるものである。

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 研究に参加しているのは、岡山大学、産業技術総合研究所(産総研)、理化学研究所、大阪大学、京都大学、東北大学、ウィーン工科大学、高輝度光科学研究センター(JASRI)の共同研究グループ。

 現在、もっとも正確な時計は原子時計と呼ばれるものである。セシウム原子の震動を利用したもので、誤差はだいたい3,000万年に1秒だ。1秒の定義というもの自体、今日ではこのセシウムの震動の量によって定められている。

 さて、自然界には約3,300種の原子核が存在する。そのうちでもっとも小さい励起エネルギーを持つものがトリウム229である。この励起状態は、レーザーによって引き起こすことができると考えられている(まだ成功はしていない)。

 トリウム229のアイソマーに関する研究は40年以上も前から行われているのだが、いまだに未解明の要素が多く残っている。たとえばアイソマー状態のトリウム229はどの程度の寿命を持つのか、と言ったような問題だ。アイソマー状態を励起するのは難しく、過去の実験では、ウラン233の崩壊を利用してアイソマー状態を作り出すことが精一杯であった。

 今回の研究は、初めて人工的にトリウム229のアイソマー状態を生成することに成功した、という点に大きな意義がある。

 なお、原子核時計が実用化されると、例えば全地球測位システムや地殻変動の観測などの分野で大きな進歩が生まれたり、暗黒物質の探索に役立ったりすると考えられている。

 研究の詳細は、Natureに掲載された。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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