スズキ・スイフト(2) ひた向きに「基礎技術開発」へ取り組むスズキに「鈴木会長」の存在

2018年6月20日 17:13

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「スイフトHYBRID RS」セーフティパッケージ装着車(画像: スズキ)

「スイフトHYBRID RS」セーフティパッケージ装着車(画像: スズキ)[写真拡大]

■ひた向きに「基礎技術開発」に取り組むスズキは「鈴木会長」の存在による

 「品質を上げながらコストダウン」するのと同じで、「強度を上げながら軽量化」するのだ。クルマ造りの基礎になる技術だが、これを真摯に取り組めたのはなぜなのか?スバルは商品力の高い車を造っているが、「燃費、排ガスデータの改ざん」が常態化していた。この体質との違いはどうゆうことなのか?

【前回は】スズキ・スイフト(1) 飛びぬけた軽量化の上に、最高の安全性能JNCAP「ファイブスター賞」

 それは「経営姿勢の違い」なのだ。「愚直に基礎技術開発」が出来るスズキの体質は、60年昔からの「鈴木会長」の存在が大きい。アメリカンファンドのように短期的利益を性急に求めないからだ。短期的決算成績に左右されない存在の鈴木会長の姿は、本来のビジネスモデルに忠実な商売人だ。

 一方で北米中心に進出している「改ざん」のスバルの体質は、「短期利益に集中」のグローバル体質が大きいのだ。現経営陣の経営姿勢が問題なのであり、「現場の体質」と国土交通省の報告書で述べているスバルの経営陣は、すぐさま全員退陣すべきと感じる。ユーザーにとっては見えない体質であり迷惑なのだ。

■「HEARTECT(ハーテクト)」の威力は、「混流生産」にあり?

 スズキは新プラットフォームを「HEARTECT(ハーテクト)」と呼んで、トヨタ、マツダ、スバルなどと同様、新プラットフォームの使用を進めている。それに加えて「混流生産」をどれほど可能にできるのか?各社は、「生産方式」の刷新にしのぎを削っている。これが、「製造業」の「品質向上をしながらのコストダウン」なのだ。表面的には、デザインや走行性能などで決まる「商品力」で評価されるのだが、自動車ジャーナリストが表面的商品力だけを感覚的に評価しているのは、なんとも情けない。現在100年に一度と言われる大変革期であるのに、これでは「カタログ」を読み上げているのに等しい。

 「軽量化」は、走行性能、燃費性能など高性能化の基本であり、安全性としても最重要課題だ。最後に、スズキ・スイフトの走行性能について簡単に見ておこう。

■古さを感じるサスペンションセッティング

 試乗車はFF・CVTでありスポーツ仕様ではないので期待はできないが、コンパクトで取り回しの良いサイズのタウンカーとイメージしていた。走りだすと、機敏ではなく実用車であることが分かるが、現代のBMW・ミニよりもゴーカートフィールかもしれない。サスペンションが意外に固く、細かい凸凹を拾うのだ。その代わりと言っては何だが、ステアリングの利き具合は、実用車としてはきびきびしている。

 そして気になったのが、コーナリング途中から立ち上がり加速を速くするためにアクセルを踏み込んだ時だ。FFの特性で、大きくアンダーステアの特性を示して外に膨らんでいくのだ。マツダやスバルなどのようにスリップを感知して、自動的にコントロールするシステムを取り入れるべきなのかもしれない。乗り心地が悪いほどではないが、サスペンションセッティングの考え方に古さを感じた。スプリングが柔らかく細かい振動を吸収し、大きな振幅はダンパーで抑えてローリング、ピッチングなどを押さえ、車体の水平を保ったまま旋回していくようなフィーリングが、BMW・Mシリーズ、スバル・インプレッサなどでも取り入れられている世界の流れだ。

 いずれにしても、軽量で安全であることが全ての基本であるので、スズキのひた向きな努力を大いに評価したい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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