テスラのイーロン・マスク氏「過度の自動化は間違いだった。人間は過小評価されている」

2018年4月30日 09:19

小

中

大

印刷

(c) 123rf

(c) 123rf[写真拡大]

写真の拡大

 Gigazineの記事、「テスラは1980年代の自動車業界の失敗を繰り返していると専門家が指摘」では、テスラのEV普及車「モデル3」の生産で苦しんでいるCEOイーロン・マスク氏がTwitterで次のように語った報じている。

【こちらも】テスラ、エイプリルフールの冗談にならず?株価急落 週間2000台は本物か?

 “「モデル3の過度の自動化は間違いだった。正確に言えば、私の間違い。人間は過小評価されている」
 「モデル3の生産は現在1週間に2000台以上になり6月末までに5000台まで到達できる」としている。”

 さらにこの記事では、1980から1990年代のGMとの比較を示している。

 “Navigant Researchのサム・アブエルサミド氏は「テスラが行ってきた失敗は1980年代と1990年代に行われてきた失敗を繰り返している」と語り、「過去にゼネラルモーターズ(GM)が行ってきた失敗と似ている」とした。”
 “当時GMの会長兼CEOであったロジャー・スミス氏は、生産ラインの大部分を自動化する構想を持っていた。スミス氏の指示の下、GMは当時のどのライバル企業よりも自動車を効率的に製造できる生産ラインを生み出すことに成功する。しかし、この生産ラインには1台でもロボットが停止してしまうと生産ラインが全てストップしてしまうという大きな欠陥があった。当時のGMは、生産ラインの自動化に数十億ドル(約数千億円)を投資したが、費用対効果はそれほど高くなかった”

■おそらくはこの記事を書いた記者の認識不足

 テスラのイーロン・マスク氏が「人間は過小評価されている」とコメントしていることは大変興味深い。しかし、生産ラインについてのイーロン・マスク氏の考えは、認識がまだずれているとしか言いようがない。さらにこの記事では、「・・・製造プロセスの品質を高める施策を取れなかった・・・」としていることが興味深く、「世間一般でこれほど製造を理解できていないものか」と考えさせられる。

 製造現場では、机上論で済ませるわけにはいかず、必ず実際にモノを作らねばならない。どれほど自動化を進めても、AIが普及できていない現状では完全自動化はできない。また完全自動化を成し遂げても、効率は上がらない。それは流し方が違うからだ。「トヨタかんばん方式」を理解すれば、「ライン生産」よりも「セル生産方式」のほうが、効率が良いことが明確だ。

 この記事によるとGMがこの時代どのような失敗をしたのか詳細に分からないが、いわゆる「自働化」を切り札と考えてはいなかったはずだ。当時、日米自動車摩擦でトヨタから直接「トヨタ生産方式」を指導されていたはずで、「中間在庫」の徹底した削減を目指していたはずである。それには以前の「フォード方式を自動化した生産方法」をとるはずはなく、「多種少量生産」に向けた改善をしていたはずだ。

 おそらくは、この記事を書いた記者の認識不足でこのような内容になったものと推察できる。GMから直接取材しない限り確定はできないが、専門家の言わんとするイーロン・マスク氏の間違いは、製造で関わる人々すべての「認識」までコントロールできなければ、必要とする「安全・効率」は達成できないということだろう。

 「トヨタ生産方式」を「宗教」と評する人もいるくらいで、安全な車を効率よく造るためには「よいクルマをつくろうよ」と全員が心を合わせる必要が出てくるのだ。日産自動車でさえ、カルロス・ゴーン氏の経営の影響を受けて品質確保の基礎が崩れていくきらいが見受けられる。金融知識やプログラム開発の知識とは違う次元の知識を必要とするのだ。これは、中国の製造業の品質が上がらない理由でもある。

 「製造」は人類にとって長い歴史を持つものでありながら、これほど「各種専門家」と言われる人々にもその認識がないことに驚かされている。(kenzoogata)

関連キーワードトヨタ自動車ロボット日産自動車カルロス・ゴーンフォードテスラモーターズイーロン・マスク

「自動車・二輪車・部品」の写真ニュース

企業・産業の最新ニュース

RSS

もっと見る

主要ニュース

RSS

もっと見る

広告

財経アクセスランキング

広告

SNSツール

RSS

facebook

zaikeishimbun

いいね!

twitter

@zaikei_company

フォロー

google+

Hatena

広告

ピックアップ 注目ニュース