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サントリーとPXP、カルコパイライト太陽電池で自販機を稼働 実証実験
サントリーとPXPは、薄型軽量な「カルコパイライト太陽電池」で稼働する自動販売機の実証実験を開始する。側面や上面など4面に太陽光パネルを搭載したサントリーの自動販売機を、神奈川県相模原市の相模原麻溝公園に設置。2025年7月から1年間、実証実験を行う。
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カルコパイライト太陽電池は、ペロブスカイト太陽電池と並ぶ次世代型太陽電池の1つで、薄くて軽く、湾曲可能な柔軟性を持つ。両者は材料となる鉱石が異なり、ペロブスカイトは可視光の発電効率が優れているのに対し、カルコパイライトは赤外光による発電に強みがある。
技術提供を担うPXPは、2020年に創業した太陽電池ベンチャー企業だ。代表や最高技術責任者(CTO)は、太陽光発電システム事業を展開するソーラーフロンティアの出身者。カルコパイライト太陽電池に加え、ペロブスカイト太陽電池の技術も有し、両者を組み合わせたタンデム構造のソーラーパネルなどの開発も手掛けている。
24年1月には、フレキシブルな太陽電池の量産技術を検証するパイロットラインを稼働。まずは、カルコパイライト材料を用いた太陽電池の量産化を目指す方針で、新製法の検証などを進めている。また同年12月には、シリーズAラウンドで総額15億円を資金調達。ソフトバンクがリード投資家を担い、豊田通商やJFEエンジニアリング、三菱HCキャピタルなどが参画した。
今回の実証実験では、カルコパイライト太陽電池のみを用いる。太陽電池をモジュール化した太陽光パネルを構築し、自動販売機本体に設置する。架台や屋根などの追加設備が要らず、両側面と背面、上部に直接設置が可能。厚みのあるシリコンやガラス材などの部材を使わないため、重量やパネル数制限などの課題をクリアでき、従来型の太陽光パネルよりも発電量が増える見込みという。
サントリーは、今回の実証実験を、再生可能エネルギー活用の取り組みの1つに位置付けている。脱炭素化のソリューションに知見を持つ三菱商事の仲介のもと、実施に至ったという。
実証実験では、自動販売機におけるカルコパイライト太陽電池の実用性や電力供給の能力を検証する予定。実験の先に、電源の取れない場所への自動販売機の設置や、災害時の電源としての利用などを見込む。また実験結果に応じて、工場や建物といった自動販売機以外での活用拡大も想定している。(記事:三部朗・記事一覧を見る)
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