曲がり角が続くコンビニ業界

2018年1月30日 06:59

印刷

コンビニ最大手のセブンイレブンの店舗。(c) 123rf

コンビニ最大手のセブンイレブンの店舗。(c) 123rf[写真拡大]

 22日、日本フランチャイズチェーン協会が発表した主要コンビニエンスストア(以下、コンビニ)の2017年の動向は「売上高(速報値)ベースで総計10兆6975億円」と前年比1・8%増。13年連続の増加となった。この限りでは「コンビニは依然、成長産業」と捉えることができる。だが同協会の発表には気になる事由が含まれていた。

【こちらも】2017年のチェーンストア販売額、天候不順で2年連続のマイナスに

 周知の通り、小売業の好不調を測る物差しの一つに「既存店売上高」がある。17年の既存店売上高は前年比0・3%減の9兆4738億円。3年ぶりの減少となった。昨年11月まででみると6カ月連続の減少となった。3年前といえばコンビニ業界に「生き残り(勝ち残り)を賭けた再編の動き」が指摘・実現され、「差別化戦略の必要性」が強く説かれ始め大手各社を中心にアノ手コノ手が打たれ始めた時期である。今回の既存店売上高減は、そうした動向にダメを押す形になったと捉えることもできる。

 業界アナリストの多くが主たる要因として、「コンビニの顧客層の変化」と解く。若者層から高齢者層へ来店客の主役が変わり始めたというのである。コンビニの動き自体に、それは見て取ることもできる。

 例えばローソンは16日に東京・丸の内の店舗で期間限定の実験店舗をオープンした。店長は栄養管理士の有資格者。「これとこれの組み合わせなどいかがでしょうか」といった具合に具体的な販売を介して、食生活の相談に乗るといった仕様の店舗である。背景には「健康志向の高い高齢者層の来店機会の増加」にある。ローソンはこの実験店舗での顧客の声や購買データを今後の(高齢者向け)商品開発に生かすという。

 またファミリーマートでは中小のドラッグストアとの一体型店舗を、約50店舗展開する。そしてJAグループなどとの共同店舗も増やしていく。狙いが顧客層の遷移にあることは容易に想像がつく。

 逆にスーパーやドラッグストアなどが「品揃えに高齢者向きを増やす」といった具合に、他業態によるコンビニ化も出始めている。アナリスト達は「(ドラッグストア大手の)ウエルシアホールディングスは営業時間を順次深夜0時まで延長していくことを明らかにしているが、コンビニ化への準備」と読んでいる。

 コンビニがまたぞろ曲がり角を迎えた。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事