米マイクロン、台湾・台中にHBM新施設を開所 2027年の計画能力は売約済み

2026年10月17日 16:50

印刷

記事提供元:Tech Times

(Micron.com)

(Micron.com)[写真拡大]

米半導体大手マイクロン・テクノロジー(Micron Technology)は10月15日、台湾・台中で広帯域幅メモリ(HBM)向けの先端組み立て・検査施設「AATT2」の開所式を開いた。同社のマニッシュ・バティア社長兼最高執行責任者(COO)は、この施設で2027年に構築する予定の生産能力はすべて売約済みだと述べた。台湾では従業員の利益分配を巡る交渉も続いている。

■HBMの増産を支える台中の新施設

AATT2は、台中にあるMicronの2番目の先端組み立て・検査施設だ。中央通信社によると、施設は既存建物の転用を経て、約1年で開所した。開所式に出席した頼清徳・台湾総統は、労使双方に誠実な協議を呼びかけた。

HBMは複数のDRAMチップを縦に積み重ね、GPUなどの演算装置の近くに配置するメモリである。NVIDIAのBlackwellや次世代のVera Rubin、AMDのInstinctシリーズなど、AI向け半導体で使われる。大容量のデータを高速にやり取りするため、メモリの製造能力はAIシステムの供給を考えるうえで重要だ。

Micronは2026年のHBM供給量について、価格と数量の契約を締結済みとしている。2027年分については、同社全体のHBM供給量の大部分が、前年より高い価格で契約済みだと9月30日の決算説明で明らかにした。開所式でのバティア氏の発言は、そのうちAATT2で計画する能力を指している。

■薄いチップを積み重ねる製造工程

HBMでは、薄く加工したDRAMチップを積層し、シリコン貫通電極(TSV)や微細な接合部で層同士をつなぐ。完成したHBMをシリコン製の中間基板を介してGPUの横に置く構成は、2.5D実装と呼ばれる。Micron、SK hynix、Samsung Electronicsが主要なHBMメーカーだ。

Semiconductor Engineeringによると、HBMに使うTSVは一般に直径2~5マイクロメートル、深さ30~60マイクロメートル程度である。TSVの形成には、穴の加工、絶縁膜と金属膜の形成、銅の充填、表面の平坦化、ウエハーの薄化と裏面での電極露出など、多くの工程がある。同誌は、HBMと先端組み立て能力の不足がサプライチェーンを圧迫していると報じている。

銅とシリコンは熱による膨張の度合いが異なり、TSVの周囲には応力を考慮した設計が必要になる。銅の充填不良や位置ずれ、薄化したウエハーの端の欠陥も、歩留まりや信頼性に関わる。Amkorの先端3D製品部門ディレクター、リック・リード氏はSemiconductor Engineeringに、薄いシリコンは強度を保つ一方、端の欠陥には注意が必要だと説明している。

Micronが量産する12層のHBM4は、同社によると1スタック当たり毎秒2.8テラバイト超の帯域幅を持ち、ピン当たりの転送速度は毎秒11ギガビットを超える。同社は2026年6月、HBM4の累計出荷額が10億ドル(約1580億円)を超え、12層品の量産立ち上げが前世代の12層HBM3Eの2倍の速さで進んでいると発表した。

■台湾4拠点の投資計画

Micronは台中のほか、苗栗県・銅鑼、桃園、台南でも設備を拡張している。台湾法人の盧東暉会長によると、2026年6月までの台湾での累計投資額は1兆6000億台湾ドル(約7兆7900億円)を超え、その約半分が直近4年間に投じられた。台中では既存施設にAATT2を加え、HBMの組み立て・検査能力を増やす。

銅鑼では、MicronがPowerchip Semiconductor Manufacturing CorporationからP5工場を18億ドル(約2840億円)で取得し、2026年3月に取引を完了した。同社の年次報告書によると、既存工場からの本格的な製品出荷は2027年半ばを見込み、同じ敷地で2棟目のクリーンルームの建設も始めている。台中の拠点とは約24キロメートル離れており、Micronは両拠点を連携させる方針だ。

桃園では、極端紫外線(EUV)露光装置に対応する「Fab 11E」の整備が進む。台北タイムズが伝えた盧会長の説明では、稼働時期は2027年末から2028年初めを見込む。MicronのEUVを用いる1ガンマDRAM技術は、同社によると従来の1ベータと比べ、ウエハー当たりのビット密度が30%以上高い。

台南では、AUOの旧ディスプレー工場を主にウエハー検査向けへ転用している。XenoSpectrumによると、装置の搬入は2026年9月上旬に始まり、高さ11メートルの倉庫を3層のクリーンルームに改装する計画だ。4拠点の計画は、ウエハー製造、検査、HBMの組み立てという異なる工程にまたがる。

■桃園でスト決議、台中では調停が続く

Micronの台湾の労組は、営業利益の15%を従業員に分配する恒久的な制度を求めている。中央通信社によると、同社は2026会計年度の報酬として台湾の従業員に最低170万台湾ドル(約828万円)の現金報酬を示した。2025年8月29日より前に入社した従業員には、100万台湾ドル(約487万円)の現金賞与も含まれる。桃園労組は、一時的な支給より継続的で透明な制度を求めるとして、会社側の案を受け入れていない。

桃園労組は10月7日、組合員2258人のうち2012人が投票し、1994人がストライキに賛成したと発表した。賛成者は投票者の約99%、全組合員の約88%に当たる。労組は実施日を決めておらず、10月19日に台北で予定する集会については、ストライキとは別の行動だと説明している。

AATT2のある台中の労組は、約1万2300人の従業員のうち約1万1000人を組織している。台中労組はストライキ投票を行っておらず、会社側との次の調停は10月22日に予定されている。Micronは対話と調停を続ける意向を示し、台湾の労働部も会社側に具体的な提案を促した。

■AI向け半導体の供給で注目される工程

MicronのHBM4は、NVIDIAのVera Rubin向けに設計され、2026年初めに量産出荷が始まった。NVIDIAのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は6月、SK hynix、Samsung Electronics、Micronの3社が同プラットフォーム向けHBM4の供給資格を得て、生産を進めていると述べた。

価格面では、UBSが2026年8月時点の分析で、業界全体のHBM平均販売価格は2027年に前年比約79%上昇すると予測した。HBM4Eの価格が1ギガバイト当たり30ドル(約4740円)を超える可能性も示している。Micronは次世代のHBM4Eに1ガンマ技術を使い、2027年の量産拡大を見込む。

台湾ではTSMCもCoWoSと呼ぶ先端パッケージング能力を拡張している。南亜科技は10月1日、屏東科学園区に3Dウエハーパッケージング・検査施設を設ける計画が承認されたと発表した。Micronの新施設の開所と各社の投資計画は、AI向け半導体でウエハー製造に加えて積層や検査の工程にも能力増強が進んでいることを示している。

元記事: Micron Opens HBM Plant With 2027 Output Fully Contracted; Strike Vote Looms

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

関連キーワード