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LG、AI家電向け半導体をサムスンで製造へ―韓国政府プロジェクトで異例の協業

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LGエレクトロニクスが主導する韓国の国家研究開発プロジェクトで、AIホーム製品向けの超低消費電力システム・オン・チップ(SoC)2種が開発される。設計を担当するCoAsia SEMIはサムスン電子のファウンドリ部門に対応した設計パートナーで、製造にはサムスンの工場を利用する計画だ。
LGとサムスンは家電やテレビなどで競合する一方、今回のプロジェクトでは需要企業、半導体設計企業、ファウンドリという異なる立場で協力する。開発期間は2026年7月から2030年12月までの54カ月で、製品への採用や量産は今後の開発と実証の結果を踏まえて決まる。
■LG主導でAIホーム向けSoCを開発
CoAsia SEMIは2026年8月31日、韓国産業通商部の「K-オンデバイスAI半導体技術開発事業」のうち、LGエレクトロニクスが統括する「K-オンデバイスAI Home」プロジェクトに共同研究開発機関として参加すると発表した。
CoAsia SEMIが担当するのは、AIホーム製品とサービスに向けたオンデバイスAI半導体の開発だ。周囲の状況を継続的に検知する「常時認知」に対応しながら、消費電力と製造コストを抑えたAI SoCを2種開発する。CoAsia SEMIが担当する研究開発の規模は約310億ウォンで、期間は2026年7月から2030年12月までの54カ月となる。
プロジェクトにはCoAsia SEMIのほか、AI半導体企業のHyperAccelとMobilint、西江大学校産学協力団、韓国電子技術研究院(KETI)などが参加する。需要企業であるLGが開発全体を主導し、半導体企業や研究機関がチップとソフトウェアプラットフォームを開発する構成だ。
LGはAIホーム製品やサービスで必要となる性能と消費電力などの条件を示し、開発した半導体を実際の利用環境に近い形で評価する。研究室でのチップ開発だけで終わらせず、ソフトウェアの動作確認、製品への搭載、性能評価までを一体的に進めることが計画されている。
■製造にはサムスンのファウンドリを利用
韓国の半導体専門メディアThe Elecによると、開発するIoTチップの製造にはサムスン電子のファウンドリ工場が使われる。LGは家電向け半導体の製造で主にTSMCのプロセスを利用してきたとされ、競合企業であるサムスンの工場を使う今回の構成は異例と受け止められている。
チップ設計を担当するCoAsia SEMIは、サムスンファウンドリの「Design Solution Partner(DSP)」に認定されている。DSPは、顧客の要件を半導体の設計へ落とし込み、製造プロセスに合わせた設計やサプライチェーン管理を支援する企業である。
半導体は、同じ機能を持つ場合でも、利用する製造プロセスに合わせて設計ルールや回路配置などを調整する必要がある。CoAsia SEMIはサムスンのプロセス技術に対応した設計経験を持つため、設計から試作、製造へつなぐ役割を担う。
今回の協業はLGとサムスンの包括的な提携ではなく、国家研究開発事業の中で進められる個別のプロジェクトである。開発後も継続してサムスンが製造を担当するかどうかは、チップの性能やコスト、実証結果、量産条件などによって決まることになる。
■クラウドに依存しないAI処理を家電に組み込む
オンデバイスAIは、センサーなどから得たデータの一部を外部のクラウドへ送らず、機器内の半導体で処理する仕組みだ。通信の待ち時間を抑えられるほか、外部へ送信するデータの範囲を狭め、ネットワークへの依存を減らせる利点がある。
AIホームでは、家電が利用者の操作を待つだけでなく、室内環境や機器の状態などを継続的に検知し、必要なときに処理を始める構成が想定されている。こうした常時認知を家電へ組み込むには、待機中の消費電力を抑えつつ、必要な場面ではAIによる推論を実行できる半導体が重要になる。
今回のプロジェクトでは、こうした用途に適したSoCとソフトウェアプラットフォームを一体的に開発する。SoCは演算処理やAI処理、周辺機器との接続など、複数の機能を一つの半導体へ統合するもので、製品の小型化や消費電力、製造コストの調整に利用される。
開発する2種のSoCがどのLG製品へ搭載されるのか、どの製造プロセスを使うのか、いつ量産を始めるのかといった詳細は公表されていない。現段階では、チップとソフトウェアを開発し、AIホーム製品やサービスへの適用可能性を検証する段階にある。
■「ThinQ Claw」で示したLGのAIホーム構想
LGは同じ8月31日、ドイツ・ベルリンで開かれるIFA 2026に向け、AIホーム構想の拡張と新しいAIエージェント「ThinQ Claw」を発表した。
ThinQ Clawはテキストチャットを通じて利用者の意図や生活上の文脈を読み取り、接続された家電やサービスの連携を支援する。LGは、予定、日常の行動、住宅内の環境、家電の利用状況などを基に、適切な操作を提案したり、複数の機器を連携させたりする利用像を示している。
LGがIFAで示したのは、個々の家電を遠隔操作するだけでなく、複数の機器とサービスを利用者の状況に応じて協調させる構想だ。今回開発する低消費電力のオンデバイスAI半導体は、家電側で継続的に情報を処理するための技術基盤の一つとなり得る。
一方、半導体プロジェクトとThinQ Clawの具体的な技術的対応関係や、開発するSoCの搭載製品は明らかにされていない。両者は、LGがAIホームを今後の製品・サービス戦略の一つとして位置づけていることを、それぞれソフトウェアと半導体の側面から示す動きといえる。
■韓国が需要企業と半導体企業を結ぶ
K-オンデバイスAI半導体技術開発事業は、自動車、IoT・家電、機械・ロボット、防衛の各分野で、韓国製AI半導体とソフトウェア、モジュール、試作品を開発・実証する国家プロジェクトである。
韓国産業通商部は、2026年から2030年にかけて総額約1兆ウォン規模を投じ、自動運転車、スマート家電、ヒューマノイド、無人航空機などへの搭載を想定したオンデバイスAI半導体を開発する方針を示している。需要企業としてLGのほか、現代自動車、斗山ロボティクス、大同、韓国航空宇宙産業などが計画に参加している。
特徴は、製品を開発する需要企業と、半導体を設計するファブレス企業、製造を担うファウンドリ、設計資産を提供するIP企業を結びつける点にある。需要企業が仕様策定や実証に参加することで、開発した半導体を実製品への搭載や量産へつなげることを目指す。
CoAsia SEMIのシン・ドンス代表は、LGとの協力経験を基に、AIホームを含むさまざまな応用市場で追加の事業機会を確保していく考えを示した。同社にとって今回のプロジェクトは、これまでAIや高性能コンピューティング分野で蓄積してきた設計・開発能力を、家電向けオンデバイスAIへ広げる機会となる。
■サムスンにとっては国内顧客との接点拡大
Counterpoint Researchによると、2026年第2四半期の世界のピュアプレイ・ファウンドリ市場では、TSMCが売上高ベースで73%、サムスンファウンドリが7%を占めた。サムスンは市場2位を維持しているものの、TSMCとの間には大きな差がある。
サムスンは、自社の製造プロセスを利用しやすくするため、CoAsia SEMIを含むDSP各社との設計支援体制を整えている。半導体の設計を自社だけで完結することが難しい顧客でも、DSPを介することで仕様策定から設計、製造、供給までを連携しやすくなる。
今回の案件は、約310億ウォンの研究開発プロジェクトであり、それだけで世界のファウンドリ市場における競争状況を変える規模ではない。それでも、韓国を代表する家電メーカーのAIホーム向け半導体を、国内の設計企業とサムスンの製造基盤で開発する点には、韓国政府が目指す国内半導体エコシステムの具体例としての意味がある。
LG、CoAsia SEMI、サムスンによる協業が製品採用や量産へ至るかは、2030年までの開発と実証に左右される。競合企業を含む国内各社を、需要、設計、製造という役割で結びつけられるかどうかが、この国家プロジェクトの成果を測る重要な要素となる。
元記事: LG Taps Samsung Foundry for AI Home Chips, Bypassing TSMC in Korea-Backed Deal
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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