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アサヒGHDのサイバー攻撃で露呈した日本企業のリスク
●アサヒGHDがサイバー攻撃で出荷停止
ビールなど飲料大手のアサヒグループホールディングス(GHD)が9月30日にサイバー攻撃を受け、国内30工場のほとんどで生産中止となり、出荷停止に追い込まれる事態となった。
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サーバー攻撃を受けた週は株価も約7%下落し、その後徐々に生産を復旧しているが、完全に復旧するまでには至っていない。
ランサムウェアグループ(身代金要求型ウイルス)の「Qilin」が犯行声明を出しており、飲料・食品の受注や出荷が出来なくなるだけでなく、財務情報や事業計画書、個人情報など27GBを盗んだとしている。
今後も、日本企業がサイバー攻撃による被害を受けることも考えられるが、日本企業のサイバー攻撃への対処は遅れているのだろうか?
●過去にもあった日本企業のサイバー被害
ランサムウェアの被害は日本だけでなく、世界中で発生しており、特に2025年は急増している。
電子メールなどで感染させ、パソコンに保存されているデータなどを使用できない状態にし、そのデータを復合するために金銭や仮想通貨を要求する手口である。
昨年は出版大手KADOKAWA子会社のドワンゴが運営するニコニコ動画が、ランサムウェアによってサービス停止に追い込まれた。KADOKAWAの業務サーバーが使えなくなっただけでなく、従業員や取引先の情報漏洩も確認されている。
昨年後半には、サイゼリヤやカシオ計算機も、業務停止まではいかなかったがランサムウェアによる被害で個人情報流出があった。
●DXが原因?新たな投資チャンスにも?
日本企業はサイバー攻撃に弱いと言われる。新種のメール攻撃では、世界全体の8割以上が日本をターゲットにしているというデータもある。身代金要求に応じることも、狙われやすい一因とされる。
もう1つ、日本企業が狙われやすい背景に、DX化があると言われている。
効率化とコスト削減のため、すべてのシステムが連携化しており、1カ所の攻撃により製造・出荷からコールセンターにまで、広範囲に被害が及ぶ。DX推進の陰で、セキュリティが疎かになっている。
今回の件は、サイバーセキュリティに対し、日本企業の意識が大きく変わるチャンスでもある。
自民党の高市早苗新総裁も安全保障を重視しており、サイバー攻撃に対しても経済安全保障相時代から重要視している。
10月6日からの高市トレードの恩恵もあり、サイバーセキュリティクラウドの株価は約20%、FFRIセキュリティは約30%上昇し、年初来高値を記録。サイバーセキュリティ銘柄にも期待が高まる。
各企業のサイバー攻撃への危機管理意識がどこまで浸透するかが、ランサムウェア対策につながり、サイバーセキュリティ銘柄の成長にも関わってくるだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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