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相場展望5月26日号 米国株: 世界的地位と信頼性の低下⇒基軸通貨・ドルの信認が揺れる 日本株: 物価上昇率が4月に前年同月比+3.5%に急伸、米国を上回る
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)5/22、NYダウ▲1ドル安、41,859ドル
2)5/23、NYダウ▲256ドル安、41,603ドル
●2.米国株:米国の世界的地位と信頼性の低下⇒基軸通貨として米国ドルの信認が揺れる
1)米国の世界的地位と信頼性の低下⇒基軸通貨として米国ドルの信認が揺れる
⇒元々、米国は(1)巨額の財政赤字(2)膨大な債務という双子の赤字を抱えていた。
⇒ドルの信認が揺らいだ国の国債保有に海外投資家は慎重になる。
⇒米国債の入札不調となる。
⇒米国財務省は政府資金調達のため、国債リスクを織り込んだ金利を提示。
⇒米国長期金利の上昇、この上昇は一過性ではない。
⇒米国株にとって、マイナスを招くだろう。
⇒米国ドル安となって、ドルの基軸通貨の地位が揺らぐことになる。
・米国格付け会社ムーディーズは米国債を1段階下げたが、「米国売り」の第一歩になったとみるべきだろう。
2)「米国売り」は終息していない
・第1次トランプ関税で「米国売り」を誘発したが、依然として協議中である。
(1)米国債券売りで、債券利回り上昇
(2)米国ドル売り
(3)米国株売り
・米国売りのうち、(3)米国株のみトランプショックから抜け出したが、(1)債券売り(2)ドル売りは依然として「売り継続」している。
・トランプ関税ショックは新たに2次波紋へ
・トランプ関税で、欧州連合(EU)に対して50%関税増と牙をむく。
・アップルに対して、米国内生産を強要、従わないなら関税課すと表明。
・アップルはトランプ関税攻勢を嫌気して株価下落。
・アップルの株価推移
5/13 212ドル
5/23 195
3)NYダウは5/19が戻り高値となり、それ以降は続落中
・NYダウの推移
3/25 42,587ドル
4/08 37,645 :▲4,942ドル安
5/19 42,792 :+5,147ドル高
5/23 41,603 :▲ 1,189ドル安
4)トランプ政権は、半導体および製造装置、関連製品にも関税適用を調査
5)米国景気の底堅さが示されるも、物価上昇(インフレ)加速も並走
・米国景気の底堅さが示された。
・5/22発表の週間失業保険申請件数は前週比で減少。
・5月米国購買担当者景気指数(PMI)は製造・サービス業ともに前月比改善。
・物価上昇(インフレ)も加速。
・商品・サービスの販売価格指数は59.3と、前月54.0から大きく上昇。
・価格指数の上昇がインフレ加速を示唆している。
●3.トランプ氏、「アップル、米国でiPhoneを生産しなければ最低25%関税」宣言(kangnamtimes)
●4.トランプ氏、EUとの「合意求めず」、50%関税を警告(CNN)
1)「米国の貿易赤字は、到底承認できない。2025年6月1日から一律50%の関税を課すと決定」とSNSに投稿。
2)米国ブルームバーグ通信は5/26、トランプ大統領が欧州委員会のフォンデアライエン委員長との電話会談後、「EUに対する関税発動期限を7/9まで延期すると表明した」と報じた。
●5.米国実質賃金、過去1年は停滞=JPモルガン調査(ロイター)
1)労働市場は堅調だったが、賃金上昇分がインフレによって相殺された。
●6.米国新規失業保険申請件数▲2,000件減、労働市場安定も失業期間の長期化示唆(ロイター)
●7.米国中古住宅販売、4月▲0.5%減、4月としては2009年以来の低水準(ロイター)
●8.米国5月総合購買担当者景気指数(PMI)は52.1、前月50.6から上昇した(ロイター)
1)米国・中国貿易戦争の休戦を受け指数は回復した。
2)製造業PMIは52.3と、前月50.2から上昇、予想50.1を上回った。
3)サービス業PMIは52.3と、前月50.8から上昇、予想とは横ばいだった。
4)投入価格指数は63.4と、前月58.5から大幅上昇、2022年11月以来の高水準。消費者への価格転嫁が背景にある。
5)商品・サービスの販売価格指数は59.3と、前月54.0から大きく上昇。2022年8月以来の高水準となった。価格指数の上昇がインフレ加速を示唆している。
●9.JPモルガンCEO、米国のスタグフレーションリスクを警告(ロイター)
1)ダイモンCEOは、地政学・財政赤字・物価上昇圧力という大きなリスクに直面している米国経済がスタグフレーションに陥る可能性を排除できない、と語った。
2)米国連邦準備理事会(FRB)については様子見という適切な対応をしていると、述べた。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)5/22、上海総合▲7安、3,380
2)5/23、上海総合▲31安、3,348
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)5/22、日経平均▲313円安、36,985円
2)5/23、日経平均+174円高、36,160円
●2.日本株:物価上昇率が4月に前年同月比+3.5%上昇、米国の物価上昇率を上回る
1)トランプ関税ショックから立ち直ったが、関税は交渉中である点に留意したい
・日経平均の推移
3/26 38,027円
4/07 31,136 :▲6,891円安
5/13 38,183 :+7,047円高
5/22 36,985 :▲1,198円安
5/23 37,160 :+174円高
・海外短期投機家は、日経平均37,000円で日経平均の底堅さを試している可能性がある。
・個別銘柄でみると、5/13にピークを付け、その後下落しているのが目に付く。
・決算発表も終わり、新規材料が乏しくなる。
・トランプ関税のマイナス影響はみえていない。
・慎重なスタンスが必要な時期に入っていると思われる。
2)物価上昇率が4月に前年同月比+3.5%上昇、米国の物価上昇率を上回る
・トランプ政権では物価上昇に対して敏感に反応している。米国では警戒感を発し、インフレ対応と対策で議論沸騰する水準である。
・しかし、石破首相からは、物価上昇に対し反応がみられない。
・物価は前月の3月から+0.5%上昇し、騰勢を強めている。
・今春闘の賃上げが低調な中小企業で働く勤労者は実質賃金がマイナスとなる可能性が大きく、庶民に生活苦が襲っている
・2倍超えるまで高騰した主食のコメ価格も呆然と眺めているだけだった。
・その状況下で、江藤拓・前農林大臣の国民を馬鹿にした発言があった。
・それに対する石破首相は鈍感力を発揮して、留任を決めた。国民、メディアなどから怨嗟の声に押されて、江藤大臣更迭に追い込まれた。
・中国から尖閣付近の領海領空の侵犯・ブイ設置・石油ガス掘削装置の攻勢を受けても、「遺憾」砲の連続で、国家を守るという主導の体をなしていない。それどころか、森山幹事長を中国に派遣して「パンダ再要請」させた。石破首相は、日本国の主権を守るよりも、パンダの日本再要請が大事とみえる。
・石破首相は、田中角栄・元首相の秘書から政界入りした。構想力・洞察力と胆力のある田中角栄から何を学んだのだろうか、問いたい!
3)日本株の海外投資家は、石破首相を評価して、動くだろう
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・2802 味の素 業績好調
・3865 北越 業績堅調
・7731 ニコン 業績好調
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