隕石が持つ太古の磁気記憶と、隕石収集方法の重要性 MITらの研究

2023年5月11日 08:45

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 隕石は状態が良ければ、それが形成された太古の磁気記憶を有している可能性がある。例えば火星は現在ほとんど磁場を持たないとされているが、かつては強い磁場を持っていたかもしれないことが示唆されている。

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 地球には1日当たり4万トンもの隕石が宇宙から飛来しているというが、これらの中には大昔に火星に小惑星が衝突した際、宇宙空間に飛び出し、長い間宇宙をさまよったのちに、地球に飛来するものもある。

 2011年にアフリカ北西部の砂漠で発見されたブラックビューティーと呼ばれる隕石は、重さ約320グラムで火星から飛来したとされる。マサチューセッツ工科大学(MIT)の科学者を中心とする国際研究チームは、この隕石を調査したところ、44億年前に形成された組織を発見したと発表した。この隕石は44億年前、つまり太陽系が誕生したばかりのころの火星の磁気情報を記憶している可能性があるのだ。

 この隕石の磁気情報を調査すれば、44億年前の火星に強い磁場が存在していたのかどうかが明らかにできる。そこでこの隕石の磁気情報を入念に調査したところ、地球の磁場によって再磁化が起こり、太古の磁気記憶はかき消されてしまっていたという。さらにこの隕石の小さな破片をいくつか調べたところ、ごく少数を除き、太古の磁気記憶は残っていなかった。

 科学者らはその原因について調べてみたところ、人間がその隕石に手で触れるだけでも、手が持つ磁場によって、簡単に再磁化されてしまうことが判明した。

 また困った事実として、隕石ハンターたちは隕石収集のために磁石を使い、これに強く引き寄せられた石を隕石の候補として選別しているのが常だ。このやり方が一番効率の良い隕石収集方法なのだが、これでは非常に大切な隕石が持つ太古の磁気記憶がかき消されてしまう。そこで科学者らは、このような収集方法を改めるよう警鐘を鳴らしている。

 つまり磁石に代わって、非破壊的な隕石分類ツールである低磁場磁化率計による隕石選別を隕石ハンターらに推奨している。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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