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認知症の治療薬「アデュカヌマブ」が米で承認! 共同開発のエーザイはストップ高連発
世界一の長寿国と言われる日本で、高齢者の絶対数が増加すると共に深刻になっているのが、認知症患者の増加だ。認知症患者の約半数を占めるのがアルツハイマー型認知症で、次にレビー小体型認知症が約20%、血管性認知症約15%と続く。
【こちらも】エーザイの認知症対応薬に新たな期待薬登場
7日、米食品医薬品局(FDA)が、米バイオジェンとエーザイが共同開発したアルツハイマー型認知症の新薬「アデュカヌマブ」を承認したことで、世間の注目が集まっている。
アルツハイマー型認知症は、神経変性疾患の一種と見られていた。新薬開発の過程では、動物実験が行われて安全性等を確認した上で、小規模な臨床試験を経て大規模な臨床で検査データを積み上げるプロセスが欠かせない。
最初に行われる動物実験で、被験動物への効能を評価することが困難であることは想像に難くない。マウスやモルモットの物忘れが進んでいるとか、改善したかをどうやって確認するかと考えると分かり易い。
今まで巨大製薬会社が開発に取り組みながら、頓挫を繰り返して来たことがそれを証明する。アデュカヌマブも19年には開発がいったん中止され、その後の検査データの再解析によって有効性を確認して、開発の再開に至った曲折を抱えている
FDAでの審査も諮問委員の多くが承認反対の立場を表明し、追加データの検証のために特認された3カ月間の延長も、最終月を迎えるというギリギリのタイミングだった。
承認を受けることは出来たものの優先審査という指定が付され、今後も別途検証試験が義務付けられている。その臨床で所定の効果が確認されなかった場合には、新薬の承認取り消しもあり得るという微妙な判断だから、「認知症薬の開発を途絶させたくない」という政治的な判断も感じられる社会実験に近い。
ともあれ、今までアルツハイマー型認知症に対する治療が対症療法だったのに対して、病気の進行を止めることが認められたアデュカヌマブは、初めての治療薬と認められる緒に就いた。
問題は1カ月50万円程と見られる高額な治療費だ。日本での想定患者数は100万人と言われるから、日本で患者に投与できる時期が来ると、逼迫している保険医療財政を更に窮地に追い込むことは必定だ。
アルツハイマー型認知症の介護に追われる患者周囲の関係者にとって、待望の朗報であることは間違いないが、「治療を続けるためのお金が続かない」という事態になってはぬか喜びと言うものだ。
高額な薬価がもたらす大きな利益を期待するかのように、1週間で30%以上も値上がりしたエーザイの株価は、利益確定売りに押されて半値戻りという分かり易い展開を見せている。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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