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相場展望2月11日号 2/9~10、日経平均に異常値 SQ後に反動安か
■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)2/8、NYダウ+237ドル高、31,385ドル
・経済対策への期待や新型コロナワクチン接種の進展を背景に、景気回復に楽観的な見方が広がった。(ロイター)
・NYダウとSP500は6営業日続伸し、景気回復の恩恵が大きいとみられる小型株が大型株をアウトパフォームした。
【前回は】相場展望 2月11日号・2/9~10、日経平均に異常値、SQ後に反動安か
2)2/9、NYダウ▲9ドル安、31,375ドル
・2/1以降NYダウは1,403ドル上昇したため、上昇を牽引してきた景気敏感株に利益確定売りが出た。(日経新聞)
3)2/10、NYダウ+61ドル高、31,437ドル
・良好な企業決算を好感した買いが入って上昇し、小幅ながら値上がりし、最高値を更新した。
・インフレ圧力は鈍く、米金融緩和の長期化が意識されている。
●2.米国株高の先行き過熱示唆か? ビットコイン急騰とゲームストップ株の乱高下は予兆かも
(1)仮想通貨ビットコインが2/9に486万円と史上最高値を更新
テスラがビットコイン15億ドル相当の取得を発表、テスラCEOのイーロン・マスク氏はSNSの投稿でビットコインを盛んに持ち上げており、それに呼応するかのようにビットコイン価格も330万円から上昇している。 マスク氏の動向に、気を付けなければ「市場を動かしてしまう」可能性がある。(CNBC)
(2)ゲームストップ株の乱高下
特定の銘柄を高騰させた個人投資家が株式市場から引き揚げる可能性が出てきた。
(3)新規株式公開(IPO)の狂乱とも言える高値発進銘柄が多数。
(4)小型株の急騰。
(5)規制当局による介入の動きに関する報道が増える。
●3.米国のコロナワクチン接種は3200万回以上が行われ、新規感染者数の平均は減少傾向にある(ロイター)
●4.イエレン米財務長官は米テレビ番組で「経済対策が成立すれば2022年までに完全雇用実現」(ブルームバーグ)
●5.米議会予算局(CBO)は最低賃金15ドルの引き上げで雇用▲140万人喪失と試算(ロイターより抜粋)
1)CBOは2/8、バイデン大統領が提案する最低賃金を時給15ドルに引き上げに伴い、雇用は2025年までに▲140万人失われる一方、+90万人が貧困から脱出するとの試算を示した。
2)賃金上昇が給与を押し上げる一方、雇用の減少が相殺となるため、向こう10年間の給与額の伸びは正味ベースで3,330億ドル程度とした。
3)財政赤字は10年間で540億ドル拡大する見通し。失業給付や、賃上げに伴うコスト上昇もあって、政府の支出が増える。
4)野党・共和党は最低賃金引き上げで、雇用が失われる、として反対する考え。
5)バイデン大統領は2/5、最低賃金引き上げは追加経済対策法案に盛り込まないとの見解を示した。
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)2/8、上海総合指数+36高、3,532
・商品市況高が追い風となって、株式市場を押し上げた。
・先週3日間続落したことで、買戻しも入りやすかった。 (亜州リサーチ)
2)2/9、上海総合指数+71高、3,603
・前日の好地合いを引き継ぐ流れで、原油や非鉄の市況高や、米国株の高値更新が投資家心理を上向かせている。
・短期金利の低下もプラスになった。(亜州リサーチ)
3)2/10、上海総合指数+51高、3,655
・人民元高や中国の融資増が材料視された。
・3日間連続の株高となり、終値で約5年半ぶりの高水準を回復した。(亜州リサーチ)
●2.中国・出生数、2020年は前年比▲3割減の1,004万人(AFP)
1)中国・人事社会保障省は2/8公表し、出生数の減少は4年連続。2016年に「一人っ子政策」を撤廃して「二人っ子政策」に転換したが、ベビーブーマーにつながっていない。
2)60歳以上の高齢者数は2025年までに3億人を超えるとみられている。
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)2/8、日経平均+609円高、29,388円
・米追加経済対策1兆9,000億ドル(約200兆円)が早期成立するとの観測から、景気敏感株を中心に幅広い銘柄が買われ、大幅続伸した。
・東証1部の時価総額707兆円と過去最高。(ロイター)
2)2/9、日経平均+117円高、29,505円
・米景気の景気回復期待から買い注文が広がり、国内企業の業績回復が進転しているという見方も株価を支えた。(NHK)
3)2/10、日経平均+57円高、29,562円
・前日までの急伸の反動で下落して始まったが、トヨタの業績上方修正が心理的な支えとなった。外資系の買い仕掛けもあり、引けにかけて上昇した。
●2.2/9~10の日本株は異常値が点灯したか? SQ後の株安もありえる
1)先物特別清算(SQ)2/12を控えた外資短期筋による強引な買い仕掛けが横行。
(1)最近の傾向として15時前の引けにかけ日経平均が急上昇する展開が続く。
(2)買いはJPモルガンの圧倒的な買い上がりで、日経平均は続伸しているが強引な感じ。
(3)2/9は特に変。
・日経平均は+117円と上昇したが、2銘柄(ソフトバンクGとファーストリテイ)の上昇寄与+123円による続伸。
・ところが中身は、ハイテク銘柄を中心に下げ基調で、東証1部の値上がり銘柄数 933、値下がり銘柄数 1,160。前日比、日経平均+0.40%対して、TOPIX+0.08%、マザーズ▲0.23%と日経平均指数のひとり相撲。
(4)2/10、日経平均は+57円高したが、日経平均上昇の寄与上位5銘柄合計は+83円。
・東証1部の値上がり銘柄数 947、値下がり銘柄数 1,152と下落銘柄が多い。
・外資系合計+2,316枚買い越し。
(5)買い仕掛けに賛成多数だったが、売り転換派が増え、買い方の勢いが減少傾向にある。
・野村とCスイスの2/9売り越し転換は気になる。
2)短期間の急伸(2/1~10、+1,898円高)に過熱感が意識され、利益確定売りが出やすい地合いとなっている。
3)SQを意識した買い仕掛けをしている短期筋のヘッジファンド(HF)・マクロ系投資顧問(CTA)がSQ通過前後から、売りに急転換するリスク
4)NYダウと日経平均の乖離幅は2/10現在で1,875ポイントまで接近して、日経平均が買われ過ぎの状態となっている。
5)株価上昇にもかかわらず、恐怖指数(VIX)は逆に上昇し市場心理の悪化傾向が気になる。
●3.「街角景気」は、緊急事態宣言の影響もあり3カ月連続で悪化(読売新聞)
1)内閣府2/8発表した1月の景気ウオッチャー調査によると、31.2で前月34.3から低下。これは2020年5月以来の低水準。
●4.企業業績
1)ソフトバンクG 4~12月期の純利益が前年同期比6.4倍の3兆551億円。内、保有株式の含み益1兆5,000億円含む。日本企業では過去最大。世界的な株高を受けて保有する海外IT株が値上がりし投資利益が大きく膨らんだ。(時事通信)
2)JEE 2021年3月期純損失を▲1,000億円⇒▲380億円に上方修正(NHK)
3)資生堂 2020年12月期最終損失▲116億円(前期+735億円黒字)(IT media)外出自粛や訪日外国人の減少が要因。
4)マクドナルド 2020年12月期当期純利益+201億円黒字と創業以来の最高益。ドライブスルーやデリバリーも好業績を牽引した。2021年12月期は増収増益で最高益更新を見込む。(東京商工リサーチ)
5)KNT 2021年3月期純損失▲170億円⇒▲370億円に下方修正。(ロイター)傘下に近畿日本ツーリストを持ち、希望退職や固定資産減損も響く。債務超過▲34億円だが、資金残高は約500億円あり特段の不安要素なし。
6)IHI 4~12月期決算で純損失▲115億円赤字、コロナ影響で旅客機需要が大幅低迷によるエンジン需要減。通年ではエネルギー事業が堅調なため最終損益はゼロを見込む。(NHK)
7)シマノ 「密回避」の追い風で快走、12月期の純利益+22.5%増の634億円と過去最高益。(朝日新聞)
8)日産 コスト削減が想定以上に進んでいるため、2020年度の赤字▲6,150億円⇒▲5,300億円に上方修正した。(NHK)
9)ホンダ 2021年3月期営業利益+4,200億円⇒+5,200億円に上方修正(フィスコ)
10)トヨタ 2021年3月期純利益+1兆4,200億円⇒1兆9,000億円に上方修正。米国や中国で販売が回復。(朝日新聞)
11)サッポロ 2020年12月期最終利益▲160億円赤字、業務用ビール落ち込む(FNN)
●5.企業動向
1)ルネサス 英国・半導体メーカーを6,157億円で全株の買収合意。(TBS)買収会社は「ダイアログ・セミコンダクター」で、5Gにも優れている。ルネサスは2019年に米国・半導体メーカーを7,000億円で買収。
2)JT たばこ市場縮小で、1,000人規模の希望退職を募集へ。(ロイター)
3)日産、ホンダ 半導体不足の影響で2020年度の販売台数を引下げ。(NHK)日産▲15万台減。
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・4543 テルモ 回復期待。
・7733 オリンパス 株価戻り期待。
・5713 住友金属鉱山 非鉄金属市況が上昇。
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