相場展望1月28日号 日経平均・NYダウともに黄色信号? 中国の金利上昇も、景気に水をさすと気掛かり

2021年1月28日 08:49

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)1/25、NYダウ▲36ドル安、30,960ドル
  ・NYダウは小幅ながら3日連続安。
  (1)製薬大手メルクがコロナワクチンの開発打ち切り発表で、行動制限の長期化を懸念。
  (2)バイデン大統領による大型経済対策の先行き不透明感。
   からNYダウは一時▲430ドル超まで下落したが、決算発表を控える大手ハイテク株に買いが入って、引けにかけ下げ渋った。(DZHフィナンシャルリサーチ)
  ・ナスダック総合指数とSP500指数は最高値更新。

【前回は】相場展望1月25日号 米景気刺激策の縮小を意識、市場の勢い鈍化?

 2)1/26.NYダウ▲22ドル安、30,937ドル
  ・NYダウは小幅下落。(ブルームバーグ)
   大手ハイテク企業の決算発表を控え、揉み合いの展開だった。
  ・新型コロナ異変種に関する懸念が重石になったほか、追加経済対策のハードルも意識された。
  ・1/27の米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定も控え、様子見となる。

 3)1/27、NYダウ▲633ドル下落、30,303ドル
  ・米連邦公開市場委員会(FOMC)は、(1)政策金利をゼロ付近で維持することを決め、(2)更なる景気支援は約束しなかった。このため、株価が過大評価されているとの懸念が強まり、市場にリスク回避ムードが広がった。(ブルームバーグ)
  ・ボーイングが▲1兆円の赤字、テスラは利益が予想を下回るなど企業決算悪化も懸念材料として加わって大きく売られた。

●2.米国株は好材料を事前に織り込み株価上昇したため、次は材料出尽くしで売られる可能性

 1)好材料
  (1)新型コロナワクチン開発・接種
  (2)大規模追加経済対策
  (3)好決算発表

 2)現実直面
  (1)コロナ異変種拡大とワクチン接種の遅延
  (2)大規模経済対策の縮小の可能性高まる
  (3)決算発表数値は、高い期待値ほどではない

●3.急激な株高に「異常」の声も、米で広がるバブル警戒(ロイターより抜粋

 1)米株式市場では世界的な株式バブルへの懸念が高まり、急反落への警戒感から一部の銘柄が乱高下するケースが起きている。

 2)世界の株式市場は、
  (1)各国中央銀行による大量の資金供給
  (2)超低金利
  (3)新型コロナワクチンンの配布
   など好材料が重なって、「何でも買う」上昇相場となり、時価総額が2020年3月末の安値から33兆ドルも膨らんだ。
  (4)個人投資家による取引増加も株価上昇に手を貸した。

 3)急騰銘柄
  ・株価乱高下の例
   ゲームストップ    ビデオゲーム販売で、1/25に2倍値上がり。
   テスラ        過去52週間で株価8倍
   ブリングチャージング EV用充電装置企業で、株価は20倍も上昇。
  ・小型株のラッセル2000指数は、構成企業のうち営業利益が赤字企業の株価が、この1年間で指数全体を+50%近くアウトパフォームしている。
  ・SP500指数は2020年3月からの上昇率が57%だが、IPO指数は+200%も上がっている。

 4)バブルと見る市場関係者の声
  ・個人投資家は過度にリスクを取っており、普通の動きではなく、それが信号だ。
  ・1999~2000年の「ドットコムバブル」程のバブル度合いに達していなくとも、株価が大幅に下落することはあり得る。
  ・ドイツ銀行調査では、90%が「バブル」と回答、テスラ株は2021年末に半値予想。

 5)バブルと見ない市場関係者の声
  ・上昇ぶりは過去のバブル期に遠く及ばない。
  ・SP500の株価収益率(PER)は22倍で、ドットコムバブル前の25倍を下回っている。

●4.トランプ氏弾劾裁判、有罪に必要な上院議員票は見込めないとバイデン氏語った(ロイターより抜粋

  1)トランプ氏を有罪にするためには、民主党上院議員50人全員の賛成に加えて、共和党から少なくとも17人の造反が要る。

  2)共和党上院議員から5人の弾劾裁判開催賛成者が出たが、5人全員が弾劾支持ではない。

  3)弾劾には上院の規定では出席議員の3分の2以上が必要なため、民主党に若干の共和党上院議員が弾劾賛成しても、否決される見通しが濃厚となった。

●5.米政権は選挙公約の通り、連邦所有地の石油・ガス鉱区の新規リース停止へ(ロイター)

 1)連邦所有地と水域で生産される石油・ガスは、国内生産全体の約4分の1を占める。

 2)温室効果ガスの約4分の1は連邦所有地・水域で発生している。

●6.欧州関連

 1)ECBは、デフォルト急増の事態に備えて、銀行融資の監視を強化(ブルームバーグ)
  ・欧州の10大銀行は昨年10~12月期に貸倒引当金を合計150億ドル(約1兆5,000億円)を積み増した公算が大きい。
  ・ECB(欧州中央銀行)の銀行監督委員会のエンリア委員長はこれまで、政府の支援策終了後に銀行の不良債権が急増する可能性を繰り返し警告し、そのような展開に備えるよう銀行に促してきた。

 2)ドイツが、コロナ変異種の流入阻止のため入国制限を検討(ロイター)
  ・異変種の感染が広がっている国との国境を閉鎖し、航空便数をほぼゼロにすることが検討されている。

 3)欧州の航空需要見通しが再び悪化、規制強化で夏の旅行に黄信号(ロイター)

■II.中国株式市場

●1.上海相互指数の推移

 1)1/25、上海総合指数+17高、3,624
  ・中国政府の経済対策に対する期待感が膨らむ流れのなか、内需と科学技術の発展に関連する銘柄を物色する動きが再び活発化した。(亜州リサーチ)

 2)1/26、上海総合指数▲54安、3,569
  ・中国中央銀行が1/26、バブルを警戒し、780億元の資金を吸収した。
  ・資金引上げが予想外だったこともあり、10年国債の利回りが急上昇した。
  ・今年に入ってから急ピッチに上昇し、5年1カ月ぶりの高値水準を回復していただけに、利食い売りに押された。(亜州リサーチ)

 3)1/27、上海総合指数+3高、3,573
  ・前場は金融引き締め観測で下落したが、12月の工業部門利益が増加したことを好感して、銀行家株や製造業株が上昇を主導した。(ロイター)

●2.中国人民銀行(中央銀行)の貨幣政策委員の馬駿氏が、「(1)過剰流動性や(2)低利借入で、株式・

不動産市場に資産バブルが生じつつある」と警鐘を鳴らした(亜州リサーチ)

●3.中国短期金利が1/27に2.976%と21カ月ぶりの急上昇、金融引き締め観測が浮上(ロイター)

 1)市場関係者からは、株式・不動産市場の上昇沈静化に向けた金融政策の引き締めスタンス転換の観測が浮上している。

 2)旧正月(春節)を控えて現金需要が高まる時期だが、中国人民銀行(中央銀行)は今年は例年のように供給となる金融調節を行っておらず、市場では意外感が出ている。

●4.中国工業部門企業利益12月は前年同月比+20.1%増、8カ月連続増加(ロイター)

 1)11月は+15.5%増だった。
  2020年通期は+4.1%増。

 2)ロイターによると、2021年中国GDPは+8.4%増と10年ぶりの高い伸びが見込まれるが消費の回復が鈍いことや、信用の伸びが急速に鈍化する可能性を懸念する声も聞かれる。

●5.中国政府は、住宅価格の急騰を受け、大都市の当局に不動産市場の投機抑制を指示(ロイター)

 1)上海当局は先週、住宅の購入と課税に関する規制を強化。深圳市もまた、住宅購入の資金源に関して監視を強化する方針を示した。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)1/25、日経平均+190円高、28,822円
  ・日経平均反発し、1990年8月以来の高値となった。
  ・今週から本格化する決算発表への期待感や米株先物が主導した。(ロイター)

 2)1/26、日経平均▲276円安、28,546円
  ・米株先物安に連動し下落、東アジア市場の下げも重荷となって、様子見が強まるなか金利低下もあって景気敏感株の売りが優勢となった。

 3)1/27、日経平均+89円高、28,635円
  ・朝方は景気回復期待で一時+200円超と買われたが、米株先物の下落に合わせて高値圏にある値嵩株に利益確定売りが出て下げた。

●2.日経平均は重くなり始めているので黄色信号

 1)日経平均は日替わりで上げ下げを繰り返す展開となってきた。しかも、上げ幅は縮小・下げ幅は拡大傾向を示す。
     1/19   1/20  1/21  1/22  1/25  1/26  1/27
     +391円 ▲110  +233  ▲125 +190  ▲276  +89

 2)NYダウもバイデン新大統領就任式1/20以降、軟弱な展開
     1/19   1/20  1/21  1/22  1/25  1/26  1/27
     +116ドル+257  ▲12  ▲179  ▲36  ▲22  ▲633

 3)Cスイスの気になる売り越し基調への転換
  ・1/26のCスイスの先物手口は▲2,729枚の大量の売り越しをした。

 4)出来高が減少のなかで、日経平均の高値継続が気になる。
  ・外資系短期筋の先物と少数の値嵩株を操作した日経平均の高値圏が気掛かり。

 5)日本電産などの決算は好調だが、日経平均構成企業全体の1株当たり利益(EPS)の回復進捗が思わしくない。

●3.国際通貨基金(IMF)は1/26、2021年GDP成長率見通しを上方修正した

 1)IMF予想成長率
       2020年  2021年
  米国   ▲3.5%  +5.5%
  日本   ▲5.1   +3.1
  ユーロ圏 ▲7.2   +4.2
  中国   +2.3   +8.1
  世界   ▲3.5   +5.5
   ・日本とユーロ圏は、2021年度はコロナ前までの回復は難しい状況とIMFは見ている。

 2)米国なども引上げており、世界で景気回復が続き、企業業績が進むとの観測が強まる。

●4.日銀黒田総裁は1/26、「財政状況は極めて深刻で、財政の持続可能性を高めることが重要」と述べた(ロイター)

 1)2%の物価安定目標に近づけば、金融緩和から出口戦略を模索する方針を示した。

●5.企業動向

 1)日本通運   本社ビルの売却検討        (共同通信)
 2)ルネサス   旭化成火災で供給停止の半導体を代替生産へ(共同通信)

●6.企業決算

 1)三越伊勢丹  4~12月の9カ月決算はコロナ影響で過去最大▲347億円の赤字(NHK)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・3776 ブロードバンド 業績好調。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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