老人福祉・介護事業の上半期倒産、過去最多に ヘルパー不足が背景

2020年7月15日 09:44

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記事提供元:エコノミックニュース

東京商工リサーチが上半期「老人福祉・介護事業」の倒産状況調査

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 老人介護業界の再編が加速しているようだ。近年、老人介護事業所の倒産は増加傾向で推移している。これまで政府もこれといった救済策を出しておらず、安易な参入で淘汰されて行く事業所の退場を傍観して来たと言える。放漫経営の事業所の淘汰が増えることは決してマイナスではなく、介護業界の効率化にとってむしろプラスと捉える見方もある。

 7日に東京商工リサーチが2020年上半期「老人福祉・介護事業」の倒産状況についてレポートを公表している。レポートによれば、今年20年上半期(1月から6月)の「老人福祉・介護事業」倒産は58件、前年同期比5.4%の増加で、過去最多の19年の55件を上回り3年連続して年上半期の過去最多を更新した。

 負債総額は61億2000万円、前年同期比44.3%の減少で、上半期としては2年ぶりに減少となる。負債1億円未満の倒産が46件で、全体に占める割合は79.3%と約8割は小規模事業者の小規模倒産のようだ。

 業種別では、最多が「訪問介護事業」の31件、次いでデイサービスやショートステイなどの「通所・短期入所介護事業」が18件、「有料老人ホーム」が4件、特別養護老人ホームなどを含む「その他」が5件となっている。競争激化と利用者の伸び悩みで厳しい経営環境の「通所・短期入所介護事業」の倒産が前年同期比38.4%の大幅な増加となったほか、ヘルパー不足が続く「訪問介護事業」も昨年と比べ1件減少したものの高止まり状態だ。

 原因別には、売上不振が35件で最多だが前年同期と比べ12.5%の減少、次いで「事業上の失敗」が12件で前年同期比200.0%増と急増、「運転資金の欠乏」5件、25.0%増と続く。急増した「事業上の失敗」では未熟な運営などの「放漫経営」が目立った。

 倒産した事業者のうち業歴5年未満が18件で全体の31.8%を占め、業歴の浅い事業者の倒産が目立つ。従業員規模別には、5人未満が35件で全体の60.3%を占め零細事業者が大半を占めている。

 新型コロナウイルス関連破たんは1件のみで、行政の支援策の抑制効果もあり新型コロナの直接の影響は少ないようだ。しかし、新型コロナで利用を控えるなどの動きもありサービス提供力が乏しい小規模・零細事業者には厳しい経営環境が続いている。今後はウイズコロナの中で体力を消耗した事業者が過半期に向けて倒産に至るケースも増加することが懸念される。(編集担当:久保田雄城)

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