不適切会計の上場企業、2019年は70社で過去最高に 東京商工リサーチ調査

2020年1月26日 07:47

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不適切会計開示企業の推移(画像: 東京商工リサーチの発表資料より)

不適切会計開示企業の推移(画像: 東京商工リサーチの発表資料より)[写真拡大]

 東京商工リサーチは24日、2019年に開示された上場企業の会計・経理に係る不正が70社・73件だったと発表した。同社が調査を開始して以来、社数・件数とも最多となり、海外子会社管理に精通した人材が不足する中、中国など海外子会社・関連会社における不適切な会計処理への対応の難しさが浮き彫りとなった。

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 全70社のうち49社が東証1部。全73件のうち、「誤り」が31件、「粉飾」が28件、「横領着服」が14件で、業種別では製造業が最多だった。

 2015年に発生した東芝の不適正会計問題を受け、金融庁や東京証券取引所は、国内上場企業におけるコーポレートガバナンスやコンプライアンスを強化させるための施策を進めている。また、時期尚早として導入は見送られたものの、監査法人のローテーション制度など会計不祥事を防ぐための監査改革も進められている。

 一方、2019年には例えばMTGが、上海子会社における不適切な会計処理が認定され決算書を大幅下方修正した。今年に入ってからも、東芝の子会社にて架空取引が発覚するなど、ガバナンスやコンプライアンスの意識向上が進む中で、上場企業の海外子会社等における不適切な取引や会計処理は後を絶たない。

 東京商工リサーチは、2019年1~12月に不適切な会計・経理があったと発表した上場企業について調査。不適切会計のあった上場企業数は70社(前年は54社)、案件数は73件(同54件)あり、同社が調査を開始した2008年以降では2016年の57社・58件を上回り最多を更新。企業がグローバル展開する一方で、海外の子会社・関連会社までガバナンスやコンプライアンスが管理できていない実態が浮き彫りとなった。

 上場区分別に見ると、かつては新興市場における不適切会計が多かったものの、2019年は東証1部が49社と全体の7割を占めた。2位以下は、ジャスダックの9社、東証2部の6社と続いた。

 業種別では、製造業が30社と最多で全体の42.9%を占め、サービス業が11社(同15.7%)と続いた。製造業においては子会社・販売会社における製造や販売管理の体制不備による不正が多かったのに対し、サービス業においては役職員による横領が目立った。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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