遠方宇宙から宇宙初期に誕生した合体銀河を検出 早大らの研究

2019年6月20日 09:12

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アルマ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で撮影したB14-65666。塵、炭素、酸素がそれぞれ、赤色、黄色、緑色で表現されている。(c) ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), NASA/ESA Hubble Space Telescope, Hashimoto et al.

アルマ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で撮影したB14-65666。塵、炭素、酸素がそれぞれ、赤色、黄色、緑色で表現されている。(c) ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), NASA/ESA Hubble Space Telescope, Hashimoto et al.[写真拡大]

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 国立天文台は18日、運営するアルマ望遠鏡が遠方天体B14-65666から酸素、炭素、塵が放出する電波の検出に成功したと発表した。131億光年彼方の天体から、これら3つの要素が同時に検出されたのは史上初のことだ。

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■初期の天体の理解に不可欠な酸素や炭素

 宇宙の起源となるビッグバンが発生したのが約138億年前。その後宇宙は膨張し、進化を開始した。当初宇宙に存在した元素は水素とヘリウムのみだったが、ビッグバンから2、3億年経ったのちに、これらの元素から最初の天体が誕生したと考えられている。

 初期の星内部で発生した核融合により、水素やヘリウム以外の炭素や酸素といった元素が誕生した。核融合により元素の種類が増えると同時に、宇宙の構造も複雑化したと考えられる。

 恒星が生涯を終えたのち、再び新しい恒星が誕生するというサイクルを宇宙は続けている。恒星が超新星爆発を起こしたのち、放出された元素から塵が構成される。これらの塵が宇宙空間のガスと結びつき、新しい星の材料になる。約130億光年彼方の遠方宇宙に存在する天体は、初期に誕生した星であることから、酸素と炭素を発見することは、その前後の星の詳細を理解するのに重要な手掛かりになる。

■検出した元素から判明した銀河の合体

 早稲田大学などから構成される研究グループが着目したのが、ろくぶんぎ座のB14-65666だ。B14-65666に関してはすでに、ハッブル宇宙望遠鏡が天体内部に2つの銀河の存在を確認していた。アルマ望遠鏡により今回、酸素、炭素、塵が両銀河に分かれていることが判明した。酸素や炭素が放つ電波から、2つの銀河が並んで存在することも判明した。

 研究グループによると、総重量が太陽の約8億倍である2つの銀河では、天の川銀河の約100倍のスピードで星が誕生しているという。星の形成が活発化している原因として、ガスの密度が高くなっていると予想されることから、研究グループは2つの銀河が合体する段階にあると結論づけた。

 研究グループは今後、より複雑な元素である窒素や一酸化炭素分子を検出し、銀河の形成やその過程での元素や物質の変遷の解明を目指すとしている。

 研究の詳細は、日本天文学会欧文報告にて18日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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