エッジAIの必要性 代表格は自動運転車 クラウドAIでは出来ないことは?

2019年6月20日 08:44

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 エッジAIを必要とする代表格は、「自動運転車」だ。クラウドAIに頼っていられない、あるいは現場で直接働くAIを必要とするのは自動運転のような場面だ。つまりクラウドにAIが置かれていた場合、自動車1台ごとの環境の違いまで把握できるのか?疑問符がつく。だから、現場の近くで「補修を必要とする部品や場面」などを自律して発見できるエッジAIの必要性が考えられるのだ。

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 例えば、航空機のエンジンをモニターするAI。最近、飛行中の航空機でエンジン整備の必要性を判断するAIが注目されている。航空機の整備では、飛行中にもモニターして、壊れそうな部品を事前に見つけ出し、寿命を意識しながら運用し続けられるように整備のタイミングを見極める。「間もなく壊れるであろう」と予測して事前に対処するのだ。これが出来ると定期整備を必要としなくなる。

 現在の飛行機の整備は、定期整備の際に故障していなくても修理交換などしてしまう。クルマの1年法令点検の様なものだが、もっと故障発見の可能性が大きく、ムダに分解点検をしている。これを、故障してから修理交換に出来れば安く済ませることが出来るのだが、飛行機は事故になってからでは取り返しがつかない。そこで故障する前に発見できれば、安く安全に出来るため、飛行中でもモニターして、故障の予兆を掴んで修理するのだ。この作業にはクラウドAIで対処できる部分もあるが、多くはエッジAIを必要とする。

 また、工場の生産ラインの工作機械をモニターするのも、上記のような意味合いがある。工作物を切削する刃物の消耗を観察し、交換時期を見極めるなどはエッジAIの得意分野であろう。ライン停止が起きる前に刃物の破損などの予測が出来れば、効率が良くなる。

 今後5Gの通信速度になり、AIプラットフォームの巨人であるグーグル、アマゾン、マイクロソフト、IBMなどが提供する発展型クラウドAIプラットフォームでも対処できる部分は増えるであろう。しかし多くは、エッジAIの処理スピードを必要とするのだ。現在は済み分けて、協調したシステム構築が望まれている。

 自動運転車の世界でも、ますますエッジAIとクラウドAIの組み合わせが広がり、それはAIの普及が本格化してきたことの表れと言えるのであろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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