太陽の熱が届かなくとも生命の誕生は可能? 環境再現に取り組むNASAの研究

2019年3月3日 19:33

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 太陽系外の惑星でどのような条件において生命が誕生するかは、宇宙生物学者(アストロバイオロジスト)にとって関心の的だ。NASAは2月26日、約40億年前の深海で生命誕生に必要な成分の発生プロセスを、実験室の中で再現したと発表した。研究成果は、地球あるいは別の系外惑星での生命誕生について手がかりになることが期待される。

【こちらも】惑星の衝突が地球上に生命をもたらした? 米大学の研究

■海底の「煙突」をビーカーで再現

 おもちゃのブロックのように、アミノ酸が積み重なることでタンパク質が形成され、あらゆる生物ができあがる。地球の原始海洋は、生命誕生にとって必須のアミノ酸や有機化合物が形成される温床となった。

 これらの物質が形成されるのに欠かせないのが、「熱水噴出孔」の存在だ。自然界における煙突ともいうべき熱水噴出孔は、海底のひび周辺に位置し、地殻の下から熱を帯びた液体を放出する。熱水噴出孔が周辺の海水と相互作用することで、生命の進化に必要な、絶えず変化する環境が生み出される。熱水噴出孔のエネルギーによって発生する暖かい環境は、太陽から離れた環境でも生命が形成されうるのかを探求するうえでカギとなる。

 とりわけ木星の衛星であるエウロパや、土星の衛星のエンケラドゥスは、氷のクラストの近くに、熱水噴出孔をもつため、太陽から離れた環境で生命が誕生しうるかを理解することは、将来の探査ミッションを計画するうえで、ヒントとなる。

■酸素の代わりにサビを利用

 NASAジェット推進研究所に属する宇宙生命科学者のローリー・バージ氏らの研究グループは、地球の原始海洋を模倣した混合物の入ったビーカーで、海底を再現した。水とピルビン酸、アンモニアから構成される混合溶液を、熱水噴出孔と同程度の温度の約70度まで熱し、アルカリ性の環境を人工的に作り上げた。

 その一方で、初期地球には酸素がほとんどなかったことから、酸素は溶液から取り除かれている。代わりに、初期地球に多く含まれた「緑青」と呼ばれる水酸化鉄が使用された。緑青は、溶液に注ぎ込まれた少量の酸素と反応し、アミノ酸の「アラニン」や、アルファヒドロキシ酸である「乳酸」を作り出すという。これらの副産物により、より複雑な有機分子が生み出されると、科学者は予測を立てる。

 研究グループは、生命の起源についての研究を9年間続けているものの、熱水噴出孔に似た環境が有機的な反応を引き起こすことを初めて観察できたという。今後は、生命誕生に必要な成分の発見やより複雑な有機分子の生成を見越して、今回引き起こした反応の研究を続けるとしている。

 「我々はまだ生命の具体的な証拠を掴んでいないが、生命の起源にとっての必要条件を理解することは、生命が存在したと考えられる場所を限定するのに役立つだろう」とバージ氏は語っている。

 研究の詳細は、米国科学アカデミー発行の機関誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」にて25日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

関連キーワードNASA惑星アンモニア土星木星エウロパ

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