【コストカッター、カルロス・ゴーン(5)】売却したGT-Rの技術 独自技術開発を縮小した功罪

2018年11月29日 15:48

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■独自技術開発を縮小した功罪

 これから3社連合がどの方向に向かうべきなのかだが、日産は、ルノー・三菱を切り捨てる選択もあり得る実力だ。一方で、ルノーと三菱は、日産の協力なくしては危うくなる可能性が高い。

【前回は】【コストカッター、カルロス・ゴーン(4)】 「再生社長」は再生できると「商売人」と交代するもの

 現在、日産が3社連合の主力であることは、販売台数・売り上げなどだけでなく、技術的優位性においてもダントツと言えるのだろう。それでも、トヨタが掲げたサービス業への業種転換など、3社連合も市場の変化を見て対応する必要性に迫られている。今のところ優位な技術としては、日産のEVだけだ。それも、「EVは参入しやすい」と言われる事の真偽はともかく、特にソフト的優位性はすぐに逆転される。まして日産は、電池など独自の技術開発を諦め、専門サプライヤーから「現在最高の技術を買い付ける」としてきているので、他社も同じ技術を手に入れられることとなり技術的優位は保ちにくい。

 現に「e-POWER」は、トヨタ方式HVよりも、方式の基本として現在の電池の効率では燃費性能で劣ることが知られている。さらに近い将来、「e-POWER」のようなレンジエクステンダー技術については、マツダのロータリーに後れを取ることは確実視できるのだ。現在「e-POWER」は、箱根のバイパスを全力では登り切れないバッテリー容量であり、発電パワーなのだ。

 EVは現在「電池の性能次第」と言われる状況だが、トヨタの全固体電池などが実用化されると、一気に普及する可能性がある。少なくとも中国では急速に普及するだろう。しかし、日産は電池開発を諦め、売却してしまっている。「専門メーカーから買えば、その時の最新のものが手に入る」、「開発費がかかりすぎる」とのゴーンの判断だ。これは、「開発費の早期の償却」という点で有効な考えだ。トヨタは1次下請けにさえ「トヨタ以外にも売り込め」と指令が出ているほど、開発費の早期回収は資金効率の点から見ると必要なのだ。

 しかし、技術的優位を保つには不利となる。ならば「生産技術を進歩させる」ことで、さらなる資金効率向上を図り、独自技術開発に投資し、その技術を独占することで、部分的にでも技術的優位を目指す方法もある。

■売却したGT-Rの技術

 しかし、日産独自の技術である「ニッサン・マシニング・ラフニング・プロセス」(NMRP)をドイツの工作機械メーカーに売却してしまった。

参考: 日産、GT-R採用技術のライセンスをヘラー社に供与 これもEVシフト戦略か?

 “「NISSAN GT-R」のVR38DETエンジンに初めて採用された技術でもある。エンジンのエネルギー効率は、動力性能や車の性能に大きくかかわっているが、NMRPの技術を含む溶射技術は、ピストンが動くときの抵抗を大幅に低減し、また軽量化や冷却性能の向上も実現している。”

 この技術は、日産GT-Rのエンジンに使われている技術でもあり、日産技術陣が誇りを持って開発した、エンジンの軽量化、効率向上が出来る技術だ。たしかに製造技術を知る者から見れば、「なるほど」と感心するアイディアと根気ある努力が感じ取れるものなのだ。

 また生産技術的にも重いエンジンブロックを取りまわす工程を少しでも減らせることは、資金需要を大幅に削減できている可能性がある。GT-Rのエンジンに使われている技術を売却してしまうことは、【前向きに前進する場面】となった日産技術陣のモチベーションを落とす行為となっている。これが「コストカッター、カルロス・ゴーン」の才能であり、場面によっては「お門違いのタイミング」であるとも言える才能なのだ。開発資金回収を優先する場面であるのか?ゴーンの数々の公私混同を見れば、社員の立場からは腹が立ってくるだろう。

 次は、ルノーと日産のガバナンスに対する責任を考えてみよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

続きは: 【コストカッター、カルロス・ゴーン(6)】 ルノーの日産会長人事の任命責任

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