はやぶさ2がリュウグウに到着、苦難続きだった前機「はやぶさ」の軌跡は?

2018年7月24日 16:18

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小惑星探査機「はやぶさ」。(c) JAXA

小惑星探査機「はやぶさ」。(c) JAXA[写真拡大]

 6月27日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星Ryugu(リュウグウ)へ到着したと発表した。今後はリュウグウの科学観測や、試料採取などの探査活動を行う。

【こちらも】探査機「はやぶさ2」により、小惑星「リュウグウ」の形状が次々と明らかに

 探査活動の「岩石の採取予定」は、成功すれば「はやぶさ」に次ぐ世界的偉業になるといわれている。宇宙誕生の解明に大きく貢献することが期待され、世界中がその成功を待ち望んでいるのだ。

●打ち上がってすぐにトラブルに見舞われたはやぶさ

 「はやぶさ」といえば、最初から災難の多い小惑星探査機であった。

 打ち上がってすぐに太陽で大爆発が起こり、太陽から出る大量の粒子(フレア)によってソーラーパネルが一部破壊されてしまったのだ。これにより動力がかなり落ちてしまい、その後の探査活動にも大きく影響することとなった。

 小惑星Itokawa(イトカワ)に無事着陸することはできたものの、地表のほこりを取り込むための砲弾が起動しないトラブルが起こった。ところが、はやぶさが着陸した際に舞い上がったほこりを取り込むことに成功。

 しかし、地球からはやぶさに信号を送っても距離があるため数分の時差が生じることや、着陸した斜面の方角が地球と反対であったために、アンテナの向きが好ましくなかったことから、「着陸失敗」と報道されていた。

 小惑星に着陸し、地表のほこりを採取する、そして飛び上がる。これら一連の行為はあらかじめはやぶさにプログラムされており、信号を送らずとも全自動で行うようになっていた。そのため地球では着陸失敗と判断されても、あらかじめプログラミングされた一連の行為を着実にこなしたのである。

●絶対に成功させたい思いがある、はやぶさ・2並んでの世界偉業を

 はやぶさは打ち上がってすぐの太陽爆発により、帰還中の推進力がかなり落ちていた。制御は難しくなるものの、日本独自のイオン噴射エンジンを使用し、上手くコントロールすることができた。

 地球帰還中に行方不明になったはやぶさは、数カ月という時間をかけて、スタッフが見つけ出した。はやぶさが採取したほこりは微々たるものであったが、現在宇宙誕生の解明のために研究が進められている。

 「はやぶさ2」が無事に岩石を採取することができれば、「はやぶさ」に続く世界的偉業を成し遂げたことになるだろう。(記事:中川リナ・記事一覧を見る

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