南極で検出されたニュートリノ、放射源は超巨大ブラックホール

2018年7月14日 21:45

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ニュートリノから特定された放射源となる天体「ブレーザー」とその周辺画像(写真:広島大学発表資料より)

ニュートリノから特定された放射源となる天体「ブレーザー」とその周辺画像(写真:広島大学発表資料より)[写真拡大]

 宇宙から飛来するニュートリノとガンマ線の検出により、ニュートリノの放射源となる天体を突き止めることに成功したと、千葉大などの研究グループが13日に発表した。検出されたニュートリノの放射源は、超巨大ブラックホールに位置する「ブレーザー」だという。南極点に設置したアイスキューブ(IceCube)が検出したニュートリノから放射源を特定したのは、世界で初めてのことだ。

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 研究グループに参加したのは、千葉大や東京大、広島大、京都大、スタンフォード大、国立天文台、愛媛大、東京工業大の研究者らだ。

 2017年9月22日(世界時)に、南極点のアムンゼン・スコット基地に設置したニュートリノ観測実験アイスキューブが、宇宙から飛来するニュートリノを検出した。アイスキューブに搭載された、ニュートリノの方向を検出する装置は、千葉大を中心に開発されたものだ。この装置を使って、検出したニュートリノの放射源の特定が進められた。その結果、ニュートリノ方向に可視光とガンマ線で明るく輝く天体「ブレーザー」が観測された。

 電荷をもたない質量の非常に素粒子であるニュートリノは、太陽中心部の核融合や超新星爆発の際に検出される。そのため、天体の理解に多くの貢献を果たしてきた。しかしニュートリノの検出は非常に困難で、放射源のはっきりした天体ニュートリノを観測する機会はほとんどなかった。

 アイスキューブから検出した情報をもとに、研究グループは追観測を実施した。性質や発生方法の異なるニュートリノと電磁波の一種であるガンマ線を総合的に判断することで、天体で起きる現象をより詳細に理解できるという。銀河の中心に位置する超巨大ブラックホールに物質が流入して輝くブレーザーに、研究グループは今回着目した。その結果、ブレーザーが通常よりも数倍の光を発することを確認し、この天体が活動期にありニュートリノを発した可能性が高いと研究グループは結論づけた。

 研究グループは今後、ブレーザーに特化した方法を用いて、ほかのニュートリノの放射源や超新星の早期発見を目指すという。

 研究の詳細は、Science誌7月13日号に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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