人間は意識的に長寿を全うできる 食事と長寿の最新研究とは

2018年3月28日 18:25

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●消化器学と内視鏡学の権威が共同で行った最新研究発表

 2018年3月21日から3日間、ローマにおいて消化器学と内視鏡学の権威が集い、100才を超える長寿のための食生活について、最新の研究結果が発表された。

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 それによると、長寿の秘訣となる食生活は、全食事の70%が野菜、うち20%が果物(果糖を含むため)と、30%の質の良いタンパク質であるという。また、小腹が空いたときのおやつにはナッツ類の摂取が望ましい。そして、満腹を感じ始めたら食卓から離れるという習慣も重要であると発表された。その好例として、日本のことわざ「腹八分」が紹介されている。

●沖縄を含む全世界の長寿地域の研究

 研究は、健康的に長寿を保つことで知られている全世界5つの地域を対象に行われた。日本の沖縄、アメリカのロマリンダ、イタリアのサルデーニャ、コスタリカのニコヤ、ギリシアのイカリア島が、その5つの地域となる。これらの地域は、単に平均寿命が長いだけではない。高齢者の典型的な疾病である循環器や呼吸器系の発症が少ないことも、研究対象となった理由である。科学者たちは、健康に長寿を保つ傾向が強い5つの地域を「ブルーゾーン」と呼んでいる。

 昨今の研究により、こうした長寿の理由において遺伝子が占める割合は30%に過ぎないことが判明している。長寿の主な理由はライフスタイルにあり、そのうち食生活が30%から40%を占めることが明らかになってきた。

●食生活改善後、1週間でエピジェネティクスに変化が

 長寿の秘訣が、野菜や豆果類の摂取にあることはこれまでのさまざまな学者によって指摘されている。野菜はもとより、豆類やナッツ類、果物を中心に、卵やチーズ、魚から摂取する良質なタンパク質を、食生活の支柱とする。適量を守り、食材はなるべく精製されていないものを選ぶ。パンであれば、全粒粉で作ったものが好ましい。

 こうした食生活の改善が人間の体に与える影響は、非常に劇的である。改善からわずか1週間で、人間のエピジェニクスは変化を始める。ただし、長寿と健康のためにはこうした健康的な食生活も持続させる必要がある。そして、白砂糖の摂取はなるべく控え、牛肉などの赤身の肉も1カ月に1回に抑える。タンパク質は、植物性の食材からの摂取で十分である、とも報告されている。

●紹介された日本の「Hara hachi bu」

 なにを食べるかは非常に重要であるが、食事の量も長寿と健康に大きく影響を与える。今回の学会では、日本のことわざ「腹八分」がそのまま「Hara hachi bu」と表記されて紹介された。

 学会で議長を務めたジョアキーノ・レアンドロ教授は、こう語る。

 「100才以上の健康な高齢者が集中する地域では、一日の平均摂取カロリーが1200から1500であることで共通しているのです。その内訳は、55%が炭水化物、35%が脂肪分、タンパク質は10%に過ぎませんでした」。

●さまざまな成人病の予防にも役立つ「粗食」

 消化器系の病気の研究者が、長期のタームで行っている研究に「粗食」の有益性をテーマにしたものがある。一日に必要な栄養素の摂取に配慮しながら、摂取カロリーを減らしてその影響を長年研究してきた。

 その結果、顕著であったのは2型糖尿病と心血肝疾患の患者の症状が、摂取カロリーを減らしたことで改善されたことである。研究者によると、カロリーを制限することで生化学的メカニズムが、長寿遺伝子といわれるサーチュイン遺伝子を活性化させる。その結果、ストレスから体内組織が保護され、老化や腫瘍を予防する。さらに、肥満を防ぎ、アルツハイマー病などの神経性疾患を予防することができるとしている。

●赤ワインも長寿の秘訣のひとつか

 また、数カ月前の研究発表では、赤ワインなどに含まれるレスベラトールもこうした有益な効能に一役買っているとされた。実際、日本の沖縄をのぞく「ブルーゾーン」では、赤ワインの摂取が日常的であることで共通している。

 いずれにしても、今回の研究で明白となったのは、健康に老いるためには食べる量を減らすという一事に尽きる。食事の改善によって、人間は意識的に長寿を全うできるのである。

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