【新型CX-8発売】ディーゼルのマツダと全方位のトヨタの考える戦略的環境対策

2017年9月15日 17:03

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新型「CX-8」(写真: マツダの発表資料より)

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  • 新型「CX-8」(写真: マツダの発表資料より)
  • 新型「CX-8」インテリア(写真: マツダの発表資料より)
  • 新型「CX-8」インテリア(写真: マツダの発表資料より)

■製造段階では共通車種で、3列シートSUVの新市場参入

 マツダは14日、新型3列シートクロスオーバーSUV「CX-8」の予約受付を開始した。発売日は12月14日。

【こちらも】続・ビジネスマンなら知っておきたい、トヨタとマツダ資本提携の舞台裏

 3列シートクロスオーバーSUV。全長4900×全幅1840×全高1730mm、ホイールベース2930mm。2列目シートは、2人乗りセパレート、全乗車定員6人乗りタイプと、3人乗りベンチシート、7人乗りタイプがある。CX-8のプラットフォームは、CX-5のストレッチではなく、CX-9の縮小版であるとのこと。

 マツダはプラットフォームの共通化を進めており、これらのプラットフォームは製造現場段階では、共通作業と出来るように考えているはずだ。その徹底でラインの作業量の平準化を進め、コストダウンを図ってきたのがスカイアクティブ・テクノロジーだ。

 トヨタのTNGA(トヨタ・新・グローバル・構造)と同じ狙いで、マツダはトヨタより先行して新5カ年計画に入っている。これがトヨタとマツダの資本提携に至る基礎的要因となっている。製造業としてのコストダウン方式が一致しているのだ。車種の補完、共有など協力体制を引き出す効果がある。コストダウン、営業政策などの柔軟性をもたらしているのだが、「造り方の改善」がその基礎となっている。

 製造業は原材料仕入れから、販売して資金回収するまで、長い期間がかかり、それを大きなロットで行うと、売上金として、資金回収までの期間が長くなり、巨大な資金を必要としてしまう。そこで1ユーザーの注文、つまり1台ごとの生産とする技術開発が、自動車会社のコストを決める基本となっている。

 マツダは車種の整理も進めて、新規の市場に参入し、利益率を上げようとしている。日本国内の3列座席ミニバンクラスに3列座席のSUVで参入しようとしている。海外戦略も考慮してのSUV兄弟車種への統合であろう。ミニバンをプラットフォーム統合して新規開発するよりは、SUV兄弟車種に統合する方がメリットが大きいと判断したのであろう。

■マツダの考える環境対策ストーリー

 マツダ・SKYACTIVーD 2.2に改造を加えて、CX-8に積んできた。マツダが長い間、開発してきたクリーンディーゼルで、燃費が良く振動が少ないエンジンである。

 CX-5搭載パワープラントと比較して、最高出力190psで15psアップ、最大トルク45.9kgmで3.1kgmアップ。JC08モード燃費17.0km/Lと1.4km/Lダウン(2WD仕様)。6速ATは共通。2WD、4WDがある。

 マツダは、スカイアクティブ-Xで見せている、燃焼方式の革新で熱効率を劇的にカイゼンする方向性を取っている。大規模集中発電・広域配電方式に対して、個別にエンジンで発電する方式のほうが、熱効率が高くなる可能性がある。現在でも中国の石炭発電より熱効率で上回っている可能性があり、石炭火力発電80%と言われる中国では、EV化でむしろCo2排出量が多くなる可能性があるのだ。

参考:【マツダ・SKYACTIV-X・新エンジンEVを駆逐するか?】SPCCIで燃費3割改善

 中国がEV化を急ぐのは、むしろ自国の自動車産業育成の思惑が、優先しているのではないだろうか?

 今回マツダはCX-8でCX-5と同じパワープラント搭載に際して、新技術を投入し、燃費を少々犠牲にしても性能を上げてきている。これは営業的判断であると考えられるが、スカイアクティブ-Xの成果で世界のEV化の流れを変えられると踏んでいるのであろうか?世界のEV化の流れには、フォルクスワーゲンなどの燃費不正があり、急速にクリーンディーゼルが説得力をなくし、トヨタのHVに対抗する手段を失ったなどの背景がある。

 再生可能エネルギーでの発電が出来なければ、エンジンの熱効率を徹底的に上げるほうが、良い結果を生む可能性もあるのだ。トヨタ方式HVに対抗できる方策がないのでEV化を急ぐEU・北米企業の思惑もあり、はたして地球温暖化対策に、ほんとうに寄与する方法となるのかが心配だ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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