韓国で日本車販売が急増、ドイツ車失速でハイブリッドが牽引

2017年6月16日 21:13

印刷

プリウスハイブリッドのロゴ (c) 123rf

プリウスハイブリッドのロゴ (c) 123rf[写真拡大]

 2017年に入り、韓国の輸入車市場で、日本車の販売が大きく増加しているという。朝鮮日報が報じている。

 報道によると、アウディとフォルクスワーゲンのドイツブランドが、ディーゼル不正により車両認証取り消しを受けた後、事実上休業状態であることからできた空白を、高い費用対効果とハイブリッド性能を武器として、日本車が占有しているという。韓国輸入車業界では、2000年代後半にあった「日本車の全盛期」が再現される可能性があるという展望も出てきている。

 韓国輸入車協会によると、2017年1-5月、ホンダ、レクサス、トヨタ、日産、インフィニティなど、日本車の韓国内累計販売台数は1万6,245台と、前年同期から29.4%増加。これは同期間の韓国における輸入車全体販売量(9万4,397台)の増加率である1.2%を大きく上回る。特に5月の輸入車市場では、日本車占有率は17.22%を記録。2008年に韓国輸入車市場で35%まで上昇した日本車の占有率は、ヨーロッパブランドの攻勢に押され、2014年には10.08%まで落ちこんでいた。

 業界関係者は「ドイツ車ブランドのディーゼル車両が最近価格だけでなく環境、ノイズなどの問題で魅力を失っている」と話し、「ガソリンとハイブリッドなど多様なラインアップをそろえた日本ブランドの販売量増加は当分持続する」と語る。

 特に成長著しいのが、ハイブリッド車の販売だ。5月の輸入車ブランド別販売順位を見ると、BMW(5,373台)、メルセデス・ベンツ(5,063台)についでホンダ(1,169台)が3位に上昇。ホンダの販売量は、前年同期より53%以上急増した。

 レクサスは864台で同43%、トヨタも852台で同21%それぞれ増加。日産(579台)の販売量も50%近く増加し、インフィニティ(263台)は前年と同じレベルだ。

 日本車復活の背景には、堅実なハイブリッド車両のラインナップがあると朝鮮日報は分析。5月の輸入ハイブリッド車の販売台数は、全体で1,798台と、前年同期対比74.1%増加した。日本車ブランドは一時、韓国消費者の好みに合わせることに苦労していたが、最近は、ハイブリッドラインナップの充実が、これまでの試行錯誤の実を結んでいるようだ。

 現在、韓国トヨタはレクサス6車種(CT200h、ES300h、GS450h、NX300h、RX450h、LS600hL)と、プリウス、カムリハイブリッドの合計8車種のハイブリッドラインナップを揃える。これは韓国内完成車と輸入車を全てあわせた中でも最も多い数だ。ホンダコリアも今年1月、初のハイブリッド車両である「アコード・ハイブリッド」販売した。

 輸入ハイブリッド車両の販売順位を見ても、日本車がずらりと並ぶ。5月は、輸入ハイブリッドの1位から9位までを日本車両が独占した。レクサスS300h(541台)が1位を獲得し、その後、アコード・ハイブリッド(310台)、プリウス(225台)、カムリ・ハイブリッド(219台)、インフィニティQ50Sハイブリッド(63台)と続いた。10位には、フォード・リンカーンMKZハイブリッドが37台が売れてやっと名前を載せている。

 日本車ブランドは今年下半期にも新車発売を通して成長を続けていく戦略だ。ホンダコリアは3月に新型CR-Vターボを発売し、15日には新型「シビック」が出る。トヨタとレクサスも、第5世代LSをはじめ、カムリ・ハイブリッドのモデルチェンジ、NX300hのマイナーチェンジなどを検討している。日産とインフィニティは、大型SUVパスファインダーのマイナーチェンジ、スポーツクーペQ60の発売を予定している。

 韓国トヨタ関係者は「韓国市場ではES300hモデルなどハイブリッドに対しての選好度が高い」として、「下半期の韓国内市場でハイブリッドモデルを追加でリリースする予定」と語る。

 最近、日本車がドイツ車より費用対効果の面でより優れた車として、韓国消費者の間に注目されている。日本車の人気販売車種であるトヨタ・カムリ、ホンダ・アコード、日産アルティマなどは、価額が3000万ウォン台と韓国の中型車と差が対してないが、便利さと走行機能が優れている面で評価されている。

 しかし日本車の明るい未来だけを予測するには早いという指摘もある。現在、韓国輸入車市場で8%を占めているハイブリッドモデルだけで日本車が市場占有率を拡大するには限界があるという意見だ。

 輸入車業界関係者は「昨年からディーゼル車に集中された消費者の関心がハイブリッド車などに多変化されている」と分析しており、「アウディとフォルクスワーゲンなどが販売停止で日本車が全般的に利得を得た面が大きい」と見ている。

関連キーワード

関連記事