NEDO、バイオジェット燃料の開発に着手 2030年実用化目指す

2017年4月23日 06:24

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バイオジェット燃料ができるまで。(NEDO発表資料より)

バイオジェット燃料ができるまで。(NEDO発表資料より)[写真拡大]

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2030年の燃料製造実用化・商用化を目指した、バイオジェット燃料の一貫製造の技術開発に着手した。バイオジェット燃料とは、この研究においては、微細藻類や木くずに由来する、ジェット燃料のことを指す。

 基本的な話から入ると、ジェット燃料、ジェットフュエル、航空タービン燃料油(これはJIS規格における正式呼称である)なるものは、添加物なども含まれるとはいえ主には原油から作られる。名前からお分かりの通り、ジェットエンジンの燃料、というのが最も主な用途である。現在存在するほとんどの航空機、ヘリコプターなどは、ジェット燃料で飛ぶ。

 だが、原油由来である、というのが問題だ。地球温暖化云々という話もだが、何より、石油は有限の資源である。いつなくなるのかについては色々な説があって定かではないが、とにかく地下資源であるという以上は無限に存在する道理はない。従って、いつかは枯渇することは分かっている。石油が枯れたから人類は空を飛べなくなりました、などというのでは笑い話にもならない。

 というわけで、ジェット燃料の代替物の研究が進められている。現在研究対象となっているのは、液化メタン、液化水素などである。色々と技術上運用上の課題は多く、実用化までは長い道のりが横たわっている。

 さて、今回のNEDO主導の研究の話に戻ろう。微細藻類を大規模に栽培し(IHI社などに、1万平方メートル規模の培養設備を委託するという)、そこからバイオマス由来油を取り出し、精製する。また木くずなどのセルロース系バイオマスからはバイオマス由来ガスを取り出し、これを液化し、それらを用いてバイオジェット燃料にする構想である。

 なお、この研究事業はは「バイオジェット燃料生産技術開発事業」(2017年度~2020年度)と名付けられ、2017年度の予算は6億6,000万円であるという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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