NVIDIA、AI半導体の供給能力拡大へ イビデンなど6社と基板・検査を強化

2026年10月23日 18:37

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記事提供元:Tech Times

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NVIDIAは2026年10月21日、ドイツで開催したGTC Berlinで、製造パートナー6社と世界の製造能力を拡大する計画を発表した。Vera RubinをはじめとするAI基盤の需要に対応するため、半導体の検査、パッケージ基板、先端パッケージング、光エンジンの供給体制を強化する。

計画の柱は、半導体検査企業King Yuan Electronics(KYEC)への11億ドル(約1730億円)の生産能力予約の前払いと、Siliconware Precision Industries(SPIL)による光エンジンの増産だ。日本のイビデンも基板供給の拡大を担い、各社の設備増強は2027~2028年にかけて段階的に進む予定である。

■需要拡大に対応し、製造の後工程を強化

今回の計画に参加するのは、Amkor Technology、イビデン、KYEC、Samsung Electro-Mechanics、SPIL、Unimicron Technology Corporationの6社だ。増強対象は日本、韓国、台湾、米国、シンガポールに広がり、既存拠点の拡張と新施設の整備を組み合わせる。

NVIDIAの創業者兼CEO、ジェンスン・フアン氏は発表で、「人類史上最大のインフラ構築のただ中にある。需要は並外れている。制約となるのは供給能力だ」と述べた。同社は、製造能力の拡大とともに、供給網の強靱性や代替供給体制の強化を進めるとしている。

資金面でも供給確保の規模は拡大している。NVIDIAの2027会計年度第2四半期の四半期報告書によると、2026年7月26日時点の供給・生産能力に関する契約上のコミットメントは2790億ドル(約43兆8000億円)で、前四半期の1190億ドル(約18兆7000億円)から増加した。

AIシステムを量産するには、半導体の製造に加え、基板の供給、組み立て、検査をそろえる必要がある。今回の計画は、こうした後工程と、高速ネットワークを構成する光部品の製造能力をまとめて拡充するものだ。

■SPIL、CPO向け光エンジンの能力を15倍へ

NVIDIAとSPILは、台湾でコパッケージドオプティクス(CPO)向け光エンジンの製造能力を拡大する。2027年半ばまでに発表時点の15倍とし、2028年末までにさらに倍増させる目標で、当初の基準に対しては30倍に相当する。

SPILはASE Technology Holding傘下の半導体パッケージング企業だ。NVIDIAが2025年に公開した技術解説でも、同社のCPO向け複数チップを組み合わせたモジュールについて、ウエハーへのバンプ形成、検査、組み立てなどを担うパートナーとして挙げられている。

CPOは、電気信号と光信号を相互変換する光エンジンを、スイッチ用半導体と同じパッケージに配置する技術である。機器の前面に差し込む着脱式の光トランシーバーに比べ、光に変換するまでの電気配線を短くし、高速伝送に伴う損失や消費電力を抑える。

調査会社SemiAnalysisの解説では、従来のスイッチ半導体から前面の光モジュールまでの距離は一般に15~30cmとされる。CPOはこの経路を数mm程度へ短縮する構成を取り、NVIDIAは外付けのデジタル信号処理回路(DSP)を省くことで、電力と遅延を削減できると説明している。

製造では、光集積回路(PIC)と電子集積回路(EIC)の集積に加え、光ファイバーとの精密な接続が重要になる。SemiAnalysisによると、CPOの光結合ではサブミクロン精度の位置合わせが必要となり、光学部品と半導体を一体として組み立てる技術が求められる。

NVIDIAのSpectrum-6は、スイッチ用半導体1個当たり102.4Tb/sのEthernet帯域幅を持ち、着脱式光モジュールとCPOの両方式に対応する。同社は2026年10月時点の製品情報で、Spectrum-X Ethernet Photonicsの電力効率を従来の着脱式トランシーバーを使うスイッチの5倍としており、SPILの増強はこうした光接続の供給基盤を支える。

■KYECに11億ドル(約1730億円)、検査能力は2027年に倍増を計画

NVIDIAはKYECに対し、生産能力を予約するため11億ドル(約1730億円)を前払いする計画だ。資金は米国の新たな半導体検査施設と設備を支援するもので、2027年4月の量産稼働を目標としている。

KYECは台湾を拠点とする半導体検査専業企業で、自社の会社概要では専業の半導体検査企業として世界最大と説明している。半導体検査は、製造したチップが所定の電気的特性や機能を満たすかを確かめ、出荷につなげる工程である。

シンガポールで拡張する検査拠点は、米国より2カ月早い2027年2月に量産稼働を始める見込みだ。NVIDIAは米国、台湾、シンガポールの増強を通じ、同社が利用する半導体検査の総能力を暦年2026年から2027年にかけて2倍にする計画を示した。

11億ドル(約1730億円)は、2026年7月末時点の供給・生産能力に関するコミットメント2790億ドル(約43兆8000億円)の約0.4%に相当する規模である。検査設備の確保は、基板や組み立て工程の増強と並び、完成した半導体を継続的に出荷するための重要な要素となる。

■基板は日韓台の3社で2.5倍へ

NVIDIAは、イビデン、Samsung Electro-Mechanics、Unimicronとの契約などを通じ、同社製品向けのパッケージ基板の供給能力を今後3年間で2.5倍にする計画だ。パッケージ基板は、半導体チップ側の細かな接続を機器のプリント基板へつなぎ、信号や電力を伝える役割を持つ。

日本のイビデンについては、2026年中に締結・発表済みの契約に基づき、NVIDIAが数十億ドル規模の生産能力予約の前払いを行う。対象は大野事業場で、NVIDIAの発表では同事業場の能力を現在の3倍に高め、追加能力は2028年第1四半期から立ち上げる見通しとしている。

イビデンの日本語の決算説明資料では、大野事業場におけるAI GPU向け高機能ICパッケージ基板の増強について、2027年度から順次稼働し、量産を開始する計画が示されている。日本の年度区分では2028年1~3月も2027年度に含まれ、NVIDIAが示した立ち上げ時期と整合する。

韓国のSamsung Electro-MechanicsはNVIDIAの基板供給網に加わり、既存拠点から直ちに能力を提供する。協業は世宗と釜山の設備更新や新工場も支援し、NVIDIAによると、2028年には同社向けの生産枠がSamsung Electro-Mechanicsの年間パッケージ基板生産能力の相当部分を占める見込みだ。

台湾のUnimicronについては、NVIDIAが生産能力予約契約を通じてKFの基板製造拡張を支援する。追加能力は2027年第2四半期から立ち上がり、2028年半ばに計画上の最大能力へ達する予定である。

基板の増産には、工場の整備、製造設備の導入、顧客の要求を満たす品質の確保が必要となる。各社の立ち上げが2027~2028年にまたがる今回の計画は、現在の需要への対応と、中期的な製造基盤の確保を並行して進める取り組みといえる。

■Amkor、韓国でインターポーザー用ウエハーの能力を拡大

米国に本社を置くAmkor Technologyとは、韓国で先端パッケージング能力を増強する。具体的な目標は、2028年末までにインターポーザー用ウエハーの生産能力を300%超増やすことだ。

インターポーザーは、複数のチップなどを高密度に接続するための中間層として使われる。こうした部材とパッケージング工程の能力を確保することで、個別のチップをAIアクセラレーターとして組み上げる生産体制を拡充する。

NVIDIAは、今回の能力増強とAmkorによる韓国の新製造施設の開発が、現行および次世代プラットフォームの生産量拡大を支えると説明している。光エンジン、基板、検査に加え、複雑な半導体の組み立てにも製造能力を積み増す構成だ。

■Vera Rubinの量産と、導入を早めるDSX POD

NVIDIAはVera Rubinについて、計算、ネットワーク、データ処理などを担う新チップ7種を共同設計し、本格生産に入ったとしている。中心となるVera Rubin NVL72は、液冷ラック1台にRubin GPUを72基、Vera CPUを36基搭載し、同社公表のNVFP4推論性能は3.6エクサFLOPSに達する。

GTC Berlinでは、Vera Rubinを用いたAIファクトリーをモジュール式コンテナに収める参照設計「DSX POD」も発表した。パートナー企業が計算機、ネットワーク、配線、ラックの電源や液冷設備を工場で組み立て、機能を検証してから出荷する仕組みである。

NVIDIAによると、電源、冷却、通信などの受け入れ設備が整った現地での導入期間を、従来の6カ月から最短14日に短縮できるという。パートナー各社による世界への提供開始は、2027年初めを予定している。

現地での統合作業を短縮する仕組みと、部品・製造能力を確保する取り組みは、AIファクトリーを継続的に展開するための両輪となる。NVIDIAは欧州の技術エコシステムに100億ドル(約1兆5700億円)近くの資金コミットメントを行ったことも公表し、地域のAI基盤整備を後押ししている。

■台湾の製造基盤を生かし、供給拠点を拡充

今回の計画では、台湾が光エンジン、半導体検査、パッケージ基板の各分野で重要な役割を担う。SPIL、KYEC、Unimicronの製造基盤を活用しながら、米国とシンガポールの検査拠点、日本と韓国の基板供給、韓国の先端パッケージングも拡大する。

発表された倍率と日程は、各社が目指す生産能力の拡張計画である。光エンジンから完成品の検査まで複数の工程に能力を積み増し、現行製品と次世代製品の需要に対応する供給体制を整える。

計画の進捗を追ううえでは、2027年2月のシンガポールの検査増強、同年4月のKYEC米国拠点、同年第2四半期のUnimicronの追加能力が初期の節目となる。SPILの2027年半ばの15倍目標と合わせ、2027年は供給網拡張が実際の製造能力として立ち上がる重要な年になる。

元記事: NVIDIA Commits $1.1 Billion to Chip Testing, Targets 15x Optics Capacity for Vera Rubin

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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