サムスンとSKハイニックス、中国NAND工場を高度化 西安は286層、大連は240層以上へ

2026年10月23日 18:30

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記事提供元:Tech Times

(Sergei Starostin/pexels.com)

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サムスン電子とSK hynixが、中国のNAND型フラッシュメモリー工場で製造技術の更新を進めている。ロイターが2026年10月21日、関係者の話と両社の説明に基づいて報じた。サムスンは西安で286層、SK hynixは大連で240層以上の製品への移行を目指す。

両社は米政府と協議していると説明している。中国拠点への米国製製造装置の導入には輸出許可が必要で、今回の更新に必要な装置について、米当局が認めた範囲は公表されていない。

■世界のNAND供給を支える中国工場

NANDは、電源を切ってもデータを保持する半導体メモリーだ。スマートフォンやパソコンのほか、AIデータセンターで使われるSSDの記憶媒体となる。両社の中国工場は、その世界的な供給網の重要な一角を占める。

Counterpoint Researchが2026年8月に公表した第2四半期の集計では、世界のNAND出荷容量に占める比率はサムスンが25%、Solidigmを含むSK hynixが22%で、合計47%だった。これはチップの個数ではなく、出荷された記憶容量を基準とするシェアである。

ロイターによると、西安工場はサムスンのNAND生産量の約40%を担う。同社にとって唯一の海外メモリー半導体生産拠点でもある。TrendForceが2026年8月に示した推計では、大連拠点はSK hynix全体のNAND生産のおよそ35〜40%を占める。

中国では、武漢に本拠を置く長江存儲科技(YMTC)が存在感を増している。韓国勢には、世界の顧客への供給を維持しながら、中国市場でも製品の競争力を高める課題がある。

■サムスン西安工場は286層のV9へ

ロイターによると、サムスンは西安工場を286層の第9世代V-NAND「V9」の製造へ転換している。社内計画の名称は「Monami」で、フランス語の「私の友人」に由来するという。

関係者1人がロイターに語った計画では、V9の生産を2026年12月に月間ウエハー5000枚、2027年12月には4万枚へ引き上げることを目指す。この数字は、転換対象となる製品の生産計画を示すものだ。

サムスンはロイターへの説明で、更新は米国の輸出規制を順守し、米国を含む世界の顧客の需要に応えるためのものだとした。また、生産能力の拡張や新たな製造施設の建設は行っていないと説明した。

西安では、128層のV6から236層のV8への世代交代も進められてきた。TrendForceが2026年3月に紹介した韓国メディアの報道では、旧世代品を縮小しながらV8の量産を拡大していた。V9への移行は、この製造技術更新をさらに進める計画となる。

■SK hynix大連工場は192層から240層以上へ

SK hynixの大連工場では現在、192層NANDが製造されている。ロイターが取材した関係者3人によると、同社は240層以上の製品への移行を進めている。SK hynixも、米政府と協議しながら大連工場へ装置を設置していると説明した。

ロイターが取材した関係者1人は、大連では最大240層の製品を製造する認可を得ていると述べた。同じ関係者によれば、同社は300層超の製品の研究開発についても米政府に許可を求める可能性がある。こうした研究は、将来的な米国生産に向けた準備にもなり得るという。

大連工場は、SK hynixが買収したインテルのNAND事業に属していた拠点だ。買収は2段階で進み、2021年に第1段階、2025年3月に最終段階が完了した。SK hynixの開示資料による取得対価は合計約88億4400万ドル(約1兆3900億円)である。

この事業を引き継いだ米国子会社SolidigmのNAND製造は、大連を基盤としている。インテル由来の192層製品は浮遊ゲート方式を採用し、SK hynixが主力として展開するチャージトラップ方式とは電荷を保持する構造が異なる。SK hynixは別系統の製品として、321層NANDの量産も進めている。

■積層数の増加がAI向けストレージにもたらすもの

3D NANDは、記憶素子であるメモリーセルを高さ方向に並べ、限られたチップ面積に多くのデータを保存する技術だ。層数の増加とセルの微細化、回路配置の工夫を組み合わせることで、記憶密度を高める。

サムスンが2024年4月に発表した第9世代の1Tb TLC V-NANDでは、第8世代に比べてビット密度を約50%高めたとしている。同社は、セルの小型化や薄い積層構造、不要なチャネル穴の削減などを、その要因として挙げている。

高密度化は、SSDの大容量化や容量当たりの製造コスト低減を支える。高容量SSDを使って必要な記憶容量を少ない台数に集約できれば、サーバーの設置スペースや運用時の電力を抑える余地も生まれる。製品の設計や使い方まで含めた改善が、AI向けストレージの効率を左右する。

AI推論では、学習済みモデルの重みやデータに加え、計算結果を再利用するKVキャッシュの保存も課題となる。サムスンは、KVキャッシュをSSDへ退避させる構成を技術資料で紹介している。大量の情報を効率よく保持し、必要なときに読み出す用途が、企業向けSSDの需要を広げている。

Counterpoint Researchの2026年8月の分析によると、企業向けSSDは同年第2四半期のNAND出荷容量の48%を占め、前年同期の26%から上昇した。同社はAI推論需要を主な背景に挙げ、2026年末までに50%を超えると予測している。

■YMTCは出荷規模と企業向け製品を拡大

Counterpoint Researchの2026年10月13日の分析では、YMTCは同年第2四半期のNAND出荷量で世界3位となり、出荷シェアは16.5%とされた。同社のNAND売上高シェアも、2025年第1四半期の9%から2026年第1四半期には14%へ上昇した。

中国市場では、ロイターが紹介したOmdiaの集計によると、2026年第2四半期のYMTCのシェアは38.5%で、サムスンの33.5%を上回った。SK hynixは17%だった。中国の顧客を巡る競争は、世界全体の順位以上に接近している。

YMTCの技術の特徴は「Xtacking」にある。メモリーセルと制御用の周辺回路を別々のウエハーで製造し、接合する構造だ。TechInsightsは市販のZhiTai SSDの分解でXtacking 4.0を確認し、160層の記憶用セル層を持つ製品や、2枚のウエハーを直接接合する構造を報告している。

この接合技術は、チップ面積の有効活用にもつながる。TechInsightsが分析した初期の64層製品では、チップ面積に占めるメモリーアレイの割合が90%を超えていた。Counterpoint Researchは2026年10月の分析で、サムスンが2025年2月にYMTCのXtacking関連特許のライセンスを取得したとも述べている。両社は製品で競争すると同時に、知的財産を通じた関係も持つ。

企業向けSSDへの展開も進む。YMTCはPCIe 5.0対応の「PE501」などを製品群に加えており、サムスンの「PM1753」も同じ世代のインターフェースに対応する企業向け製品だ。Counterpoint Researchによると、YMTCは2026年第2四半期の売上高では世界5位で、消費者向け製品の比重が大きかった。同社の分析は、高付加価値の企業向け市場への進出を成長の焦点としている。

Counterpoint Researchは、YMTCの2026年の売上成長率が業界や競合企業の約6倍になると予測する。また、YMTCが上海証券取引所の科創板への上場を申請したことを確認している。製造技術の高度化に加え、製品構成と資金調達も競争を左右する要素となる。

■米輸出規制の下で進む工場更新

米商務省産業安全保障局(BIS)は2025年8月29日、サムスン、SK hynixなどの中国拠点を対象とする適格最終需要者(VEU)認定の撤回を発表した。対象拠点では、それまで一定の米国由来の装置や技術を個別の輸出許可なしに受け取れたが、撤回後は許可の取得が必要となった。

BISは当時、既存工場の操業を続けるための輸出許可申請を認める意向を示した一方、生産能力の拡張や製造技術の高度化に向けた許可は認める意向がないと説明した。2026年10月21日のロイター報道によると、両社は中国への米国製装置導入について毎年許可を求める必要がある。

多層化には、深い穴を形成するエッチングなど、高度な製造工程が関わる。Tom's Hardwareは、大連の製造がLam Research、Applied Materials、KLAなどの米国企業の装置に依存すると報じている。装置の調達と輸出許可は、中国工場の更新を進めるうえで重要な条件となる。

BISは今回の承認状況についてロイターに具体的に回答せず、2025年の声明を参照するよう求めた。ロイターも、更新に必要な装置について許可された範囲を確認できなかったとしている。両社が説明する米政府との協議と、BISが公表した許可方針が、今後の設備導入を見極める焦点になる。

■米国での生産構想とSolidigmの資金調達

SK hynixは、米国にNAND工場を建設する構想についてトランプ政権と協議している。ロイターが2026年10月に報じた。中国で既存拠点の製造技術を更新する一方、米国での生産も検討する動きとなる。

Solidigmの資金調達については、ロイターが2026年9月25日、早ければ2027年の米国上場を検討し、評価額が最大1500億ドル(約23兆6000億円)になる可能性があると報じた。Bloombergは10月、Goldman SachsとMorgan Stanleyが上場準備に起用されたと報じていた。

その後、SK hynixは10月23日、Solidigmの上場前の出資受け入れと新規株式公開の検討を中止したと発表した。朝鮮ビズによると、同社は資本市場の状況や株価動向を踏まえ、既存株主にとって有利な資金調達方法を再検討すると説明している。Solidigmの成長に向けた投資の必要性は維持し、別の調達方法を探る方針だ。

サムスンは中国以外で286層NANDを展開し、2026年8月のFMSでは400層超の「V10 BV-NAND」を披露した。SK hynixも321層製品を量産している。中国工場の更新は、こうした製品世代の進展とAI向け需要を背景に、世界の供給網を支える既存拠点の競争力を高める取り組みとなる。

元記事: Samsung, SK Hynix Push China NAND Toward 286 Layers as BIS Stays Silent on License Approval

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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