ドル円が2022年以来の最大下落、米指標下振れに合わせた日本の為替介入か

2026年7月31日 13:06

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記事提供元:Tech Times

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7月30日日、ドル円相場は一時157円台まで急落し、2022年後半以来となる1日の最大下落率を記録した。市場アナリストらは、米連邦準備制度理事会(FRB)内の意見の不一致や米GDPの下振れというドル安要因が重なったタイミングで、日本の財務省が為替介入に踏み切った可能性が高いとみている。介入の有無について公式な確認はなく、日米金利差も依然として大きいため、その効果の持続性には懐疑的な見方が広がっている。

■市場は日本の為替介入と推測

ニューヨーク時間の正午までに、ドルは始値の163円超から日中安値の157.80円まで下落し、その後158.61円付近で落ち着いた。数時間で約400pips(約4円)の変動となったが、それだけでこの動きを説明できる経済指標や中央銀行の声明はなかった。片山さつき財務相を含む政府側からコメントはなかった。財務省は為替市場での取引を原則として確認しない方針を取っており、市場は独自に結論を下した。

ロンドンのTJMでFXセールス・トレーディング担当マネージング・ディレクターを務めるニール・ジョーンズ氏は、「ドル円での400ポイントの下落は、財務省による追加の公式介入があったことを強く示唆していると私はみている」と述べた。「円は全面高となっている。これは単なるドル安以上の動きだ」

BBVAのG10為替戦略責任者であるロベルト・コボ・ガルシア氏も、「ドル円の急激な下落は、公式介入を強く示唆している。日本の当局は、弱い米国経済指標によって生じたドル安の勢いを利用し、ドルを売って円を支えたとみられる」と率直に語った。

経験豊富な為替市場関係者によれば、この動きを特徴づけたのは、その正確なタイミングだった。日本政府は外貨準備を投入する前に、1つではなく3つのドル安要因がそろうのを待っていたとみられ、木曜日にはそれらがすべて同時に現れた。

■FRBの反対票と米GDP下振れが介入の好機に

FRBは水曜日、政策金利を3.50%〜3.75%に据え置くことを決定したが、カシュカリ、ハマック、ローガンの各地区連銀総裁は利上げを主張し、3人が反対票を投じた。FRB内部のタカ派的な傾斜が示された一方、政策金利が据え置かれたことを受けてドルは幅広く下落した。このドル全面安が、日本の当局にとって追い風になった。

続いて木曜日早朝、米商務省が第2四半期のGDPを発表した。経済成長率は年率換算でわずか1.5%にとどまり、エコノミスト予想の2.1%と第1四半期の2.1%をいずれも下回った。個人消費は3.2%と堅調だったが、AIインフラ関連の輸入による貿易赤字の急増と政府支出の減少が、GDP全体を押し下げた。この予想下振れによってドルは再び下落した。

FRB内の意見の不一致とGDPの下振れという2つの材料は、円がすでに月末のポジション調整による圧力を受け始めていた日に重なった。アナリストらによれば、これらが合わさったことで、日本の財務省にとって「ドルに弱気な環境」が整った。市場の流れに逆らうのではなく、流れに沿ってドルを売り、円を買うことで、介入の効果を増幅できるタイミングだったという。

キャピタル・エコノミクスのチーフ・マーケッツ・エコノミスト、ジョナス・ゴルターマン氏はロイターに対し、「日本の当局は、前日のウォルシュ氏による曖昧なメッセージと、それに伴うドルへの下押し圧力を、ドル円のモメンタムを転換させる機会と捉えた可能性がある」と語った。この戦術は、2024年夏に日本が弱い米消費者物価指数(CPI)の発表後に介入のタイミングを合わせ、市場と同じ方向の勢いを利用した手法と似ている。

■チャートが示す意図的な介入の痕跡

円の大きな値動きが、すべて介入によって生じるわけではない。オプション取引、アルゴリズム取引の発動、流動性の低下によって、当局による円買いのように見える急変が生じることもある。しかし、木曜日の動きはそのようなパターンには当てはまらなかった。

SBI FXトレード(東京)のエグゼクティブ・アドバイザーである斎藤裕司氏は、トレーダーが介入と市場のノイズをどのように区別するかについて、次のように説明した。「これはレートチェックが行われたときに見られる動きとは明らかに異なる。チャートを見ると、ドルが下落し始める前に、上値が2、3回抑えられている」。レートチェックとは、財務省が実際には取引せず、市場を注視していることを示すためにディーラーへ気配値を尋ねる行為だ。通常は一時的な変動という識別可能なパターンを残すが、木曜日の動きは一方向で持続的だった。

円は、ほかのすべての主要通貨に対しても同時に上昇した。ユーロと英ポンドの双方に対して2%以上上昇し、G10通貨のなかで最も高い上昇率を示した。市場主導の円相場であれば、通常、クロス円の動きはもっとまちまちになる。政府によるドル売り・円買いが主導する場合には、ドル売りの相手方がほかの通貨ペアでヘッジや再取引を行う可能性があるため、円が幅広い通貨に対して上昇する傾向がある。

日本政府が実際に投入した金額が明らかになるのは、数週間後となる可能性がある。財務省は介入実績を月次で公表しており、発表までに時間差があるため、リアルタイムで介入規模を確認することはできない。4月から5月にかけての11.7兆円規模の介入も、事後になって初めて確認された。1ドル=161円で換算すると、約727億ドルとなる。

■過去の介入と同様、今回も効果は限定的か

あらゆる為替介入が直面する構造的な問題は市場関係者によく知られており、木曜日に介入が行われていたとしても、その規模にかかわらず、この問題を変えるものではない。

日銀が6月に利上げを行った後、日本の政策金利は1995年以来の高水準となる1.00%に達している。一方、FRBの政策金利の目標レンジは3.50%〜3.75%だ。この約260ベーシスポイントの金利差によって、円を借りて米国債に投資する取引は、世界の市場で最も分かりやすく収益を得やすい取引の一つとなっている。金利差が続く限り、機関投資家はポジションを保有するだけで年率換算約260ベーシスポイントの利回りを得られる。介入はこの金利差を解消せず、むしろ円売りポジションをより有利な価格で構築、または積み増す短期的な機会を提供する。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフFXストラテジスト、上野大作氏は、介入の限界について次のように指摘した。「これが円高へのトレンド転換につながるかは疑わしい。9月の米利上げ観測が根強いことに加え、安全資産としてのドル買いも続いている。投機的な円安は一時的に抑制されるかもしれないが、実需や投資主導のドル買いは続く可能性が高い」

ラザード・アセット・マネジメントは2026年7月の機関投資家向け分析で、さらに深刻な問題を指摘している。2023年まで、日米金利差はドル円相場の変動の約90%を説明していた。それ以降、金利差が約40ベーシスポイント縮小したにもかかわらず、円はドルに対して約15%下落している。過去の傾向に照らせば円高につながるはずの変化だった。原因とされるのは、日本におけるインフレ期待の高まりだ。市場が、日本は円安とエネルギー価格の上昇に起因する構造的な輸入インフレに直面していると考えている限り、金利差だけでは通貨を安定させられない。

ブルッキングス研究所のシニアフェローで、国際金融協会(IIF)の元チーフエコノミストであるロビン・ブルックス氏は、木曜日の動きの数週間前に、介入は「症状である円安に対処するだけで、病因である過剰な債務に対処しないため、失敗する運命にある」と述べていた。さらに、「為替介入は、実際には非常に深刻な危機が迫っているにもかかわらず、何も問題がないかのような錯覚を生み出すため、極めて逆効果だと考えている」と語った。

4月から5月にかけての介入実績は、この見方を裏付けている。日本は4月28日から5月27日までに11.7兆円を投じた。1ドル=161円で換算すると約727億ドルで、記録上最大の単一の介入局面だった。円は一時的に安定したものの、再び下落に転じ、7月21日までにドルは再び163円を上回った。

■ゴールドマン・サックスはすでに円安を予想

7月上旬、ゴールドマン・サックスは異例の率直さで今後の見通しを示した。同行は12カ月先のドル円の目標値を155円から165円へ引き上げ、キャリートレードの「資金調達通貨」として円を利用することを明確に推奨した。つまり、機関投資家の顧客に対し、円を借り、その資金をより利回りの高い資産に投資するよう助言していた。通貨の上昇を予想しているときに、大手投資銀行が行うような推奨ではない。

JPモルガン・チェースは今回の動きに先立ち、「市場が以前に想定していた防衛線は事実上消滅した」と指摘していた。投資家が日本の介入を予想していた心理的な水準が何度も突破され、円安を見込むポジションへの抑止力として、もはや機能しなくなったことを認めたものだ。

■注目される金曜日の日銀会合

こうした状況から、金曜日の日銀金融政策決定会合は、介入の有無以上に市場が注視するイベントとなっている。それには十分な理由がある。

日銀の2日間の会合は金曜日に終了する予定で、植田和男総裁の記者会見は米東部時間午前2時30分、日本時間午後3時30分ごろに予定されている。政策金利は1.00%に据え置かれる公算が極めて大きい。ロイターがエコノミスト87人を対象に行った調査では、86%が据え置きを予想している。市場を動かすのは、決定と同時に公表される「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」の文言と、植田総裁がインフレの上振れリスクをどのように表現するかだ。

植田総裁が、インフレリスクが従来の予測よりも高まったことや、政策委員会が今後の利上げペースの加速を検討していることを示唆すれば、市場は日米金利差が予想よりも早く縮小するシグナルと受け取るだろう。そうなれば、円売り取引で得られる日々のキャリー収益が減少し、木曜日の円高がさらに続く可能性がある。ブルームバーグがエコノミスト52人を対象に行った調査では、40%が次の利上げを10月、50%が12月と予想している。

一方、植田総裁が「上振れリスクは存在するが管理可能」という従来の見方を維持し、警戒姿勢を強めなければ、キャリートレードを支える構図は変わらない。木曜日に介入が行われていたとしても、その効果は4月から5月の介入と同様、長続きしない可能性がある。

市場が無視できない政治的な側面もある。高市早苗首相は、政策運営に慎重な姿勢を取る2人の日銀審議委員を任命した。このうち直近で任命された佐藤綾乃氏は、金曜日の会合に初めて参加した。もう一人の高市首相による任命者である浅田東一郎氏は、6月の利上げに反対票を投じた。最もタカ派的な2人の委員である田村直樹氏と高田創氏は、2027年7月まで任期更新の時期を迎えない。利上げを加速させるための政治的な力学は、依然として複雑だ。

ブルームバーグがエコノミスト52人を対象に行った調査では、59%が、インフレ指標がより速い利上げを正当化する場合でも、高市政権は利上げペースを遅らせると考えていると回答した。経済指標が示唆するよりも利上げを抑える中央銀行は、キャリー取引を支える金利差をより長く維持し、円安を長期化させることになる。

■介入は時間稼ぎに過ぎない

木曜日の動きは、介入が通常もたらす効果を示した。相場の勢いに乗った一方向の動きを急反転させ、投機的なポジションを調整させたのである。キャリートレードが利益を生み続けるには、金利差が存在するだけでなく、円がポジションに不利な方向へ激しく動かないことも必要だ。1営業日で3%の損失が出れば、数週間かけて蓄積したロールオーバー収益が失われる可能性がある。取引の基礎的な前提が変わっていなくても、その損失は現実のものとなる。

しかし、木曜日の介入を可能にしたとみられる条件、すなわちFRBの曖昧なメッセージ、弱い米国経済指標、月末の資金フローが常にそろうわけではない。一方、介入の効果を限定する構造的な条件は変わらない。日本の公的債務はGDPの約240%に達し、日米金利差は約260ベーシスポイントある。ラザードの分析によれば、円安の主因は金利差からインフレ期待へと移りつつある。

片山財務相は、介入の可能性を事前に示唆していた。7月24日、ドルが164円に近づいた際、「必要であれば適切に対応する用意がある。断固たる措置を講じるということだ」と述べた。また、米国の当局と「24時間365日、緊密に連絡を取り合っている」とも言及した。これは、必要に応じて通貨をめぐる協調的な措置を取ることを日米が確認した「片山・ベッセント二国間合意」を指している。この合意によって、木曜日に介入が行われたとすれば、日本は米国の黙認を得ていた可能性が高い。それにより、過去の単独介入を複雑にしてきた外交的な摩擦を回避できたとみられる。

円は、ごく短期的には木曜日の上昇分の一部を維持する可能性が高い。しかし、過去1年間で円を11%押し下げた構造的な力を転換できるほどの上昇が続くかどうかについては、2022年以降に行われた日本の4回の介入局面が答えを示している。いずれも時間を稼ぐ効果はあったが、相場の方向を反転させることはできなかった。

(本記事の通貨換算は、指定された1ドル=161円の概算レートを使用している。すべての換算額は概算である。)

■注目ポイントQ&A

●日本は木曜日に実際に為替介入を行ったのか?

日本の財務省は、為替市場での取引について原則としてコメントしない方針に従い、介入の実施を確認していません。公式な介入データは通常、数週間後の月次発表で開示されます。市場で確認されているのは、ドルが円に対して1営業日で3%下落したこと、主要な円の通貨ペアすべてで同時に円高が進んだこと、この動きを単独で説明できる規模の経済材料がなかったことです。BBVA、TJM、SBI FXトレードの複数の為替専門家は、これらの動きを財務省による介入を強く示唆するものと評価しています。ラザード・アセット・マネジメントによる過去の介入パターンの分析では、日本の財務省は1日だけでなく、数日間にわたって集中的に介入する傾向があるとされており、木曜日が新たな複数日介入の始まりである可能性もあります。

●なぜ日本の為替介入は効果が持続しないのか?

簡単に言えば、介入は為替レートそのものに対処しますが、レートを動かしている要因を解消しないからです。日本の政策金利1.00%はFRBの3.50%〜3.75%を約260ベーシスポイント下回っており、世界の投資家にとって、円を借りて米国資産に投資する取引で収益を得やすい状況が続いています。この構造的な取引が円への継続的な売り圧力を生み、介入はそれを一時的に相殺することしかできません。ラザード・アセット・マネジメントの2026年7月の分析では、2023年までは金利差がドル円相場の変動の約90%を説明していましたが、その後は金利差が縮小したにもかかわらず円が約15%下落しています。これは、日本のインフレ期待の高まりが、金利差とは別に円安を主導していることを示します。ブルッキングス研究所のシニアフェローであるロビン・ブルックス氏は、介入は「症状である円安に対処するだけで、病因である過剰な債務に対処しないため、失敗する運命にある」と述べています。日銀が利上げを大幅に加速するか、米国の金利が大幅に低下しない限り、キャリートレードを支える基本的な経済条件は変わりません。

●円安を食い止めるには何が必要か?

構造的には、日銀による利上げの加速か、FRBの利下げサイクルによって日米金利差が大幅に縮小する必要があります。7月31日の日銀会合で利上げが行われる可能性は低く、焦点は植田総裁の発言が、12月ではなく10月の利上げを示唆するかどうかにあります。ロイターがエコノミスト87人を対象に行った調査では、86%が2026年12月までに政策金利が1.25%になり、70%が2027年第2四半期までに少なくとも1.50%へ達すると予想しています。日銀が1.25%、FRBが3.50%〜3.75%であっても、金利差はなお200ベーシスポイントを大きく超え、キャリートレードを構造的に維持できる水準です。INGのグローバル・マーケッツ・リサーチ責任者であるクリス・ターナー氏は、現在の介入姿勢を「無益な試み」と表現しています。ゴールドマン・サックスも7月上旬、12カ月先のドル円目標を165円へ引き上げ、キャリートレードの資金調達のために円を借りることを推奨しました。

●この状況は米国にどのような影響を与えるか?

40年ぶりの円安は、米国の消費者や旅行者に直接的な影響を与えます。円安になると、日本の電子機器、自動車、機械部品などの輸入価格が低下し、価格面で一定の恩恵が生じます。日本を訪れる米国人にとっては、ドル高によって購買力が高まりますが、木曜日のような急激な円高はその効果を一時的に弱めます。より広い視点では、円キャリートレードが日本の金融政策と米国株式市場を結びつけています。2024年8月のようにキャリートレードが急激に巻き戻された場合、レバレッジをかけた投資家は円建ての借り入れを返済するため、円を急いで買い戻す必要があります。その資金を確保するため、米国株を含むリスク資産の売却を迫られる可能性があります。3%の介入観測による値動きだけで、2024年8月と同規模の巻き戻しが起きる可能性は低いとみられます。ただし、金曜日の日銀会合で利上げ時期の前倒しを意識させる予想外のタカ派的な発言があれば、市場がまだ織り込んでいない形でキャリー取引の金利差が縮小する可能性があります。

元記事: Dollar Drops Most Since 2022 as Japan Strikes Yen Market After Fed’s Three-Way Split

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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