三菱スペースジェット開発中止か? 三菱航空機の人員削減でしぼむ期待

2020年5月29日 19:28

3月に初飛行を行った三菱スペースジェット飛行試験機・10号機(画像: 三菱航空機の発表資料より)

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 「やはり」と感じた。事実上、三菱重工・スペースジェット(旧MRJ)の開発は止まった。三菱重工は、今年度開発費を600億円程度に半減させると発表したのだ。エアラインが生き残れるのか分からない状況に追い込まれている現実を見れば、新型機が売れるはずはなく、まして型式証明も取れていない状況では、これから数年の経済低迷を考慮するとほとんど絶望であろうか?

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 2008年に開発がスタートした当初、MRJは日本の産業にとって大きな希望だった。中小企業も参加した地域ぐるみのサプライヤー体制など、すそ野の広い航空機産業を日本で復活できることは大きな魅力だったのだ。

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 思い起こせば、戦後初の国産旅客機YS-11は国際政治に翻弄され続けていた。それは、宇宙産業と航空産業は今でもアメリカの強い影響下にあるからで、時にロッキード事件などとなって表面化もしていた。アメリカの企業体がアメリカ政府に働きかけ、日本の政府予算を取り込んで、さらに日本に自国の機体を売り込もうとの戦略だ。

 今でもこれは色濃く感じられるのだが、政治の裏で繰り広げられる利権争いはほとんどが表面化しないと見てよいだろう。

 今回、直接の動機は、新型コロナウイルス感染拡大によりスペースジェットの開発計画が大幅に遅延することとなったことだ。北米拠点を1つだけ残し2つを閉鎖、国内人員を削減する。しかし、これまでエアラインに対する納入を6度にわたって延期してきており、未だに型式証明も取れない現状では、パンデミックがなくてもいずれ行き詰るのではないかとさえ言われてきた。

 このままでは、国産旅客機復活の夢が絶たれるかもしれない。日本は航空機産業もままならず、いったいどの産業で生きていくのであろうか?

 パンデミックによって経済が縮小するということは、生活レベルの低下をきたし、徐々に後進国の生活レベルに落ちていくことを表している。一時の経済不振であればよいが、新生活ルールなどを鑑みると、GDPがパンデミック前に戻るには相当の時間を要すと見なければなるまい。

 日本の翼の夢を絶たれたことは、飛行機マニアの関心事で終わることではない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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