中小企業の越境決済、フィンテックが銀行を逆転へ Mastercard・Bain調査

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国際取引を行う中小企業の91%が、2028年までに越境決済事業者を変更する計画であることが、MastercardとBain & Companyの調査で分かった。フィンテックを主要事業者とする比率は現在の30%から2029年に48%へ上昇する一方、銀行は42%から28%に低下すると予測されている。
■中小企業の91%が事業者変更を計画
MastercardがBain & Companyと実施した「Money in Motion」は、ブラジル、カナダ、中国、ドイツ、インド、インドネシア、メキシコ、南アフリカ、トルコ、英国、米国の11市場で、中小企業などの意思決定者1000人超を対象にした調査である。
調査では、中小企業の91%が2028年までに越境決済事業者を変更する計画を示した。越境決済では価格だけでなく、送金の速度や料金の透明性、決済状況を把握できることへの要求が強まっている。
事業者を選ぶ際の上位3項目として挙げられた割合は、信頼・評判が35%、速度・リアルタイム決済が34%、外国為替手数料の透明性と費用対効果がそれぞれ28%だった。
最近事業者を変更した企業では、67%が速度を切り替えの要因に挙げ、コストと透明性はいずれも44%だった。一方、事業者を変更しない最大の理由は信頼で、20%を占めた。
■フィンテックのシェア、2029年に48%へ
調査時点では、主要な越境決済事業者として従来型銀行を利用する企業が42%を占め、フィンテックの30%を上回る。その他の事業者は28%だった。
今後3年間では構図が変化し、2029年にはフィンテックが48%へ上昇する一方、銀行は28%、その他の事業者は24%になると予測されている。MastercardとBainは、フィンテックが調査した15項目のうち9項目で銀行を上回り、特に透明性、業務効率、費用対効果で差が出ているとしている。
現在フィンテックを主要事業者とする企業の約6割は、今後2年間もフィンテックを使い続ける見通しで、銀行への移行を検討している割合は1割未満だった。一方、銀行利用企業で同じ銀行にとどまる見通しなのは約4割で、37%はフィンテックへの移行を検討している。
複数の決済事業者を利用する企業も多い。報告書では85%が複数事業者を利用しており、越境決済を1社に集約せず、用途などに応じて使い分ける動きが広がっている。
■決済追跡や不正検知への需要も
企業は送金そのものだけでなく、周辺機能も重視している。約4分の3が付加価値サービスを検討または積極的に探しており、48%は業務効率を改善する追加ツールを求めている。
希望する付加価値サービスでは、決済状況の追跡が43%で最多となり、不正検知が42%で続いた。口座確認などの検証サービスと為替ヘッジ・先物契約がそれぞれ35%、複数通貨・バーチャル口座が33%、税務報告・助言が32%だった。
料金の見え方についても、単純な手数料水準だけではなく、最終的にいくら支払うかを把握できることが重要になっている。コストへの印象を改善する要因として、46%がリアルタイムの為替情報、44%が明確な料金表示を挙げた。
Mastercardで送金ソリューションのグローバル責任者を務めるプラティク・コワラ氏は、越境決済で企業が求めるものが変化し、事業者を比較して乗り換える意欲も高まっていると指摘する。銀行とフィンテック双方にとって、速度、信頼、透明性を高めることが顧客獲得と維持につながるとしている。
■市場によって異なる重視点
国別でも利用傾向には違いがある。インドネシアでは34%、インドでは29%の企業が少なくとも4社の決済事業者を利用しており、調査対象全体の平均19%を上回った。
英国では45%が明確で透明性の高い料金表示を事業者へのロイヤルティーを高める要因に挙げ、世界平均の38%を上回った。米国では44%が決済状況のリアルタイム更新によって、その事業者を継続利用したりサービス利用を増やしたりする可能性が高まると答えた。世界平均は32%だった。
ブラジルでは60%が越境決済に関連する追加ツールを検討しており、世界平均の48%を上回った。国や地域によって、速度、透明性、追加サービスに対するニーズが異なることも浮き彫りになった。
■世界市場は2032年に47兆8000億ドル
Mastercardによると、世界のB2B越境決済市場は2024年の31兆7000億ドル(約5009兆円、1ドル=158円換算)から、2032年には51%増の47兆8000億ドル(約7552兆円)へ拡大する見通しである。
FXC Intelligenceは、中小企業のB2B越境決済市場を2024年時点で13兆8000億ドル(約2180兆円)と推計しており、2032年には54%増の21兆2000億ドル(約3350兆円)に達すると予測する。
中南米・カリブ海地域を対象としたMastercardとFXC Intelligenceの別調査では、中小企業の越境決済フローが1%移動するだけでも、銀行とフィンテックの間で年間約2億3000万ドル(約363億円)の収益が動く可能性があると試算されている。
■G20も2027年末を目標に越境決済改善
越境決済の改善はG20でも進められている。金融安定理事会(FSB)が公表している目標では、小売り越境決済について2027年末までに世界平均のコストを取引額の1%以下とし、どの送金経路でも3%を超えないことを目指す。
速度については、小売り越境決済の75%で送金開始から1時間以内に受取人が資金を利用でき、残りも1営業日以内に利用できる状態を目標としている。
透明性についても、決済サービス事業者が2027年末までに、仲介業者の料金や為替レート、通貨交換手数料を含む総コスト、着金予定時間、決済状況などを支払人と受取人に提示することを目標に掲げている。
こうした市場環境の中で、銀行が築いてきた顧客との信頼関係と、フィンテックが強みを持つ速度や透明性の双方が、中小企業の越境決済を巡る競争の焦点になっている。
元記事: Mastercard-Bain Survey Finds Fintechs Set to Overtake Banks in SME Cross-Border Payments
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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