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日本政府、楽天の「独自衛星ブロードバンド」に1500億円支援へ Starlink依存からの脱却図る

(Ast-science.com)[写真拡大]
日本政府は、楽天モバイルと米AST SpaceMobileによる共同事業に対し、1500億円(約9億2200万ドル)の資金支援を決定した。これは、独自の低軌道(LEO)衛星ブロードバンドネットワーク「J-LEO」を構築するためのもので、単一国によるこの分野への投資としては過去最大規模となる。2026年末までの共同事業体設立と、同年末の限定サービス開始、2027年度の全国展開を目指す。
■「Starlink依存」という経済安全保障上の課題
2024年1月1日の能登半島地震において、地上通信網が寸断された被災地でSpaceXの「Starlink」が活躍した。しかし、日本の緊急通信インフラが、一民間人が支配する外国企業のネットワークに依存している現状は、経済安全保障上の懸念材料となった。
国内大手のKDDI、NTTドコモ、ソフトバンクはすべてStarlinkインフラを採用した直接通信サービスを展開している。これに対し、2022年の経済安全保障推進法に基づく重要プロジェクトとして位置づけられた「J-LEO」は、日本独自のGPS補強システム「みちびき(QZSS)」と同様に、外資依存を減らすために立ち上げられた。J-LEOはさらに厳格で、完全な国内民間所有と国内運用を求めている。
■通常のスマホでブロードバンド通信を可能にする「BlueBird Block 2」
通常のスマートフォンは出力が0.2〜2ワットと小さく、地上数百キロメートルを時速約2万7000キロメートルで移動する低軌道衛星と直接通信することは技術的に極めて困難だった。
AST SpaceMobile'sの「BlueBird Block 2」衛星は、約220平方メートル(約2400平方フィート)という巨大なフェーズドアレイアンテナを搭載することでこの課題を解決する。この巨大アンテナにより、未改造のスマートフォンからの微弱な電波を検知し、地上ゲートウェイを経由して、動画視聴が可能なレベルのブロードバンド通信(テスト時で最大200Mbps、1セルあたり最大120Mbps)を実現する。
衛星の心臓部には、独自開発の「AST5000」ASICチップが搭載されており、リアルタイムのビーム制御やドップラー効果の補正、10GHzの処理帯域幅における周波数効率の最適化を行う。3GPPの非地上系ネットワーク(NTN)規格に準拠しているため、ユーザーは端末の改造やファームウェア更新、専用SIMなしで、通常の基地局に接続するように衛星通信を利用できる。
■楽天だけが持つ「700MHz帯」という強力な武器
総務省は2026年6月24日、衛星携帯直接通信向けに700MHz帯の使用を正式に承認した。この帯域(プラチナバンド)を保有しているのは、国内4大キャリアの中で楽天モバイルのみである。
他社が利用するStarlinkの直接通信サービスはKDDIの850MHz帯などをベースにしているが、楽天の700MHz帯は障害物に強く、農山村部などでの電波伝搬特性に優れている。ASTの技術はパートナー企業が提供する地上周波数帯で動作するため、競合他社が容易にこの優位性を模倣することはできない。楽天グループの三木谷浩史会長兼CEOも「宇宙からの直接ブロードバンドは他社との差別化要因になる」と述べており、他社がメッセージングや限定的なデータ通信にとどまる中、楽天はフルブロードバンドの提供を目指している。
■1500億円の使途と今後の課題
今回の1500億円の補助金は、AST製衛星の調達、地上管制施設やゲートウェイ地球局(福島県など)の建設、運用システムの構築などに充てられる。楽天側の自己資金を含めた総事業費は約20億ドル(約3220億円)に達する見込み。また、災害時には楽天ユーザー以外にも通信を開放することが検討されている。
一方で、最大の懸念はASTの衛星打ち上げペースである。2026年5月にBlue Originの「New Glenn」ロケットが地上試験中に爆発事故を起こし、打ち上げの目処が立っていない。ASTはSpaceXの「Falcon 9」への依存を強めているが、積載量の制限から、2026年末までに45機の衛星を軌道上に展開するという目標の達成には不確実性が残る。また、総務省による700MHz帯の規則改正が2026年9月に予定されており、同年末のサービス開始に向けたスケジュールは非常にタイトである。
■注目ポイントQ&A
●すでにStarlinkが普及している日本で、なぜ政府が約1500億円も投じて独自の衛星網を構築するのですか?
経済安全保障上の観点から、外国企業(SpaceX)が支配するインフラへの過度な依存を避けるためです。2024年の能登半島地震でStarlinkが有効に機能した一方、災害時の緊急通信を外資に依存するリスクが浮き彫りになりました。「J-LEO」計画は、日本国内で所有・運用される独自の衛星ネットワークを構築し、地政学的リスクに左右されない通信インフラを確保することを目的としています。これは、GPSへの依存を減らすために日本が「みちびき(QZSS)」を構築したアプローチと同様です。
●特別な機器なしで、普通のスマートフォンから衛星経由でビデオ通話ができるのはなぜですか?
AST SpaceMobileの「BlueBird Block 2」衛星が、約220平方メートル(一戸建て住宅の床面積に匹敵)という超巨大なアンテナを搭載しているためです。スマートフォンの微弱な電波(約1ワット)を衛星側で高感度に受信し、独自チップ「AST5000」が時速約2万7000キロメートルで移動する衛星のドップラー効果やビーム制御をリアルタイムで補正します。通常の携帯電話規格(3GPP NTN)に準拠しているため、ユーザーは端末の改造や設定変更なしで接続できます。
●楽天モバイルが保有する「700MHz帯」は、この計画においてどのような意味を持ちますか?
総務省が衛星携帯直接通信向けに承認した700MHz帯(プラチナバンド)は、電波が遠くまで届きやすく、障害物を回り込みやすい特性を持っています。国内キャリアの中でこの帯域を保有しているのは楽天モバイルのみであり、競合他社が利用するStarlinkのサービスに対して、通信品質やカバーエリアの面で強力な競争優位性(モート)を築くことができます。
●楽天の衛星通信サービスはいつから利用可能になりますか?また、どのようなリスクがありますか?
2026年末に限定的な商業サービスを開始し、2027年度中に日本全国へのカバー拡大を目指しています。主なリスクは、提携先であるAST SpaceMobileの衛星打ち上げスケジュールの遅れです。打ち上げを予定していたBlue OriginのNew Glennロケットが2026年5月の爆発事故により運用停止となっており、代替のFalcon 9では一度に運べる衛星数が限られます。また、総務省による700MHz帯の正式な規則改正が2026年9月に予定されており、サービス開始までのスケジュールが非常に過密であることも課題です。
元記事: Japan Backs Rakuten With $922M to Build Sovereign Satellite Broadband Network
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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