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事業再編のセブン&アイ、今後の行方は?

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●セブン&アイがイトーヨーカ堂などを売却
国内流通大手のセブン&アイホールディングス(HD)は1日、祖業であるイトーヨーカ堂など非コンビニ事業の持ち株会社ヨークHDの株式の一部を、米投資ファンド・ベインキャピタルに売却したと発表した。持ち株比率は、セブンが40%、ベインが60%となる。
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今年3月、セブン&アイHDはカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けたが、独禁法に抵触する恐れや交渉がまとまらなかったことなどを理由に、クシュタール側は7月に買収を撤回した。
今後、業績低迷が続いたス-パーを切り離し、コンビニのセブンーイレブンに専念する。
グループ再編でセブン&アイHDの今後はどうなるのだろうか?
●足かせだった非コンビニ事業
コンビニ以外を束ねていたヨークHDは、イトーヨーカ堂の他に東北地盤のスーパー・ヨークベニマル、ベビー用品の赤ちゃん本舗、雑貨店のロフト、ファミリーレストランのデニーズも運営している。
ヨークHDの総売上は1.6兆円で、そのうちス-パーマーケット事業が約85%を占める。セブン&アイのスーパー事業は、イオンに次いで国内2位だった。
100年以上の歴史を持つイトーヨーカ堂だが、衣料部門はユニクロやECの台頭により衰退し撤退。バブル期に建てた郊外店舗が少子高齢化と車離れにより衰退していくなど、苦境が続いていた。
2025年2月期まで、5期連続の赤字が続いている。
●コンビニ事業も安泰ではない
セブン&アイHDは、8月に2030年度までの計画を発表。営業収益(売上高)は11.3兆円を目指し、セブンイレブンの店舗は、1000店舗の純増を図る。新規出店だけでなく、既存店への投資とデリバリーの強化も掲げている。
しかし、コンビニ事業も安泰ではない。
国内では終わりのない物価高の中、商品の増量や値引きなどで他社に後れを取り、最近になってようやく「うれしい値」などの低価格商品が奏功している。それでも、2026年2月期の通期予想は、売上高が前期比10%減に見直し、営業利益も下方修正した。
北米事業では、子会社SEIのIPO上場を目指すとしているが、北米でも長引くインフレで消費者の節約志向が強く、既存店売上高は24年9月まで13カ月連続で前年割れ。併設のガソリンスタンドも苦戦している。
不採算店舗の閉店も相次ぎ、2209億円の特別損失を計上した。
国内外ともににコンビニ事業も厳しく、不採算部門を売却してもいばらの道は続く。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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