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上場維持基準引き上げでどうなる? 東証グロース
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●東証グロースが上場維持基準引き上げ
東京証券取引所は、新興市場の東証グロース市場の上場維持基準を引き上げる方針を固めた。
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現行の上場維持基準である上場10年後に時価総額40億円以上を、上場5年後に100億円以上へと引き上げる。2030年からの適用となる。
現状の上場約600社のうち、約7割が基準に届いていない。
2022年からスタートした東証改革だが、東証グロース市場の伸び悩みは依然として大きな課題として残っている。
上場基準引き上げはカンフル剤となるのだろうか?
●成長しない市場
東証のグロース市場改革の政策パッケージは、IPOの推進と上場後も成長を目指す経営、上場維持基準の見直しの3本柱となっている。
グロース市場のコンセプトは「小さく上場して大きく育てること」だが、現状は上場がゴールになっている企業も少なくなく、小粒感が否めない。
2022年に東証改革がスタートしてからも、時価総額が伸びていないことと、成長に失敗した企業が残っていることなどが課題として挙げられている。
●引き上げはチャンス?
4月7日の“ブラックマンデーの再来”週に、オルカンなどが大きく売られる中、東証グロース250ETFだけが切り返して買われる場面があった。内需株中心で関税の影響を受けないという理由だと見られる。
厳しい条件を課すことで、グロース市場の上場企業に発破をかけても、そもそも日本経済の構造的な要因が成長を妨げているという見方もある。
日銀の利上げで金利上昇が見込まれ、材料費の高騰や人件費の高騰で企業の財務が圧迫されており、新興企業に資金が入りにくくなっている。
東証グロースの内需株は、人口減少の日本で成長を見込むのも限界がある。
国際競争力が低下している日本で、東証グロースからグローバル企業が誕生することも期待は薄い。
上場基準の引き上げによって、新興企業の上場意欲を削ぐだけになってしまうことにも、なりかねない。
この数年でグロースからプライムに昇格した企業は、メルカリ、FPパートナー、霞カ関キャピタルなど、内需株が目立つ。
その内需株が世界進出で成功するようならば、東証グロースも活性化するだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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