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2024年の倒産件数、11年ぶりの1万件超えも視野に 11月までで前年上回る
東京商工リサーチが11月の「全国企業倒産」を発表。物価高や人手不足などを要因として、緩やかに企業倒産が増えていることが分かった。
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■年間倒産件数1万件超えが視野に入る
9日、東京商工リサーチが11月の「全国企業倒産」を発表した。全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は前年同月比4.21%増の841件となり、3カ月連続で前年同月を上回った。
11月の負債総額は同68.88%増の1,602億2,300万円。主な大型倒産企業は、日本電解(負債総額:147億6,100万円、以下同じ)、ファーストコンサルティング(119億円)、原ヘルス工業(87億円)、ワンフォワード(72億4,100万円)、エヌシーガイドショップ(54億円)。
東証グロース上場の日本電解が民事再生法の適用を申請しており、上場企業の倒産は2023年12月のプロルート丸光以来となる。
11月までの累計倒産件数は9,164件となり、既に2023年の年間倒産件数である8,690件を超えた。2013年以来(1万855件)となる年間倒産件数が1万件超えの可能性もある。
倒産件数が増えた要因には、過剰債務や物価高、人手不足、人件費上昇、社会保険料負担増、金利上昇などがあり、今後も企業倒産は緩やかに増えるとみられる。
■10産業中8産業で前年同月を上回る
産業別の倒産件数は、10産業中8産業で前年同月を上回った。倒産件数が最も多かった産業はサービス業他の304件(前年同月比:2.70%減、以下同じ)。次いで建設業が152件(4.82%増)で、この2業種が100件超え。
以下は製造業が99件(4.21%増)、卸売業が98件(13.95%増)、小売業が87件(11.22%減)、運輸業が38件(35.71%増)、情報通信業が30件(15.38%増)、不動産業が19件(13.63%減)、農・林・漁・鉱業が12件(33.33%増)、金融・保険業は2件(前年同じ)。
都道府県別で最も倒産件数が多かったのは東京都の140件。次いで大阪府(127件)、愛知県(51件)、神奈川県(49件)、兵庫県(47件)、福岡県(42件)が続く。
反対に倒産件数が少なかったのは山梨県と宮崎県が各1件、秋田県と長崎県が各2件、鳥取県、島根県、徳島県、高知県、沖縄県が各3件となっている。
■飲食業の倒産件数は年間最多を更新
同日、東京商工リサーチが2024年1~11月の「飲食業」倒産も発表した。1~11月における飲食業の倒産(負債1,000万円以上)件数は前年同期比11.0%増の908件。さらに年間で最も倒産件数が多かった2023年(893件)を既に超えており、年間最多件数の更新が確実となっている。
新型コロナが落ち着いたことやインバウンド需要により、客足は戻ってきている。一方で、原材料費、光熱費、人件費の上昇が続いていることから、価格の値上げが難しかったり、価格上昇で来店客が減ったりして、売り上げ増に結び付いていない飲食店が多いことが倒産件数の増加に影響している。
■「食堂・レストラン」など5業種で前年の倒産件数超え
小分類別の業種では、10業種中8業種で前年同期比を上回った。最も倒産件数が多かった業種は専門料理店の224店(前年同期比:10.89%増、以下同じ)。次いで食堂・レストランが204店(11.47%増)、酒場・ビヤホールが172店(8.86%増)で、ここまでが倒産件数で100店越え。
以下はバー・キャバレー・ナイトクラブが80店(66.66%増)、喫茶店が56店(6.66%減)、持ち帰り飲食サービス業が54店(12.50%増)、宅配飲食サービス業が50店(21.87%減)、すし店が27店(28.57%増)、その他飲食店が24店(4.34%増)、そば・うどん店が17店(54.54%増)となっている。
この中で「食堂・レストラン」「専門料理店」「そば・うどん店」「すし店」「バー・キャバレー・ナイトクラブ」の5業種で2023年間の倒産件数を超えている。さらに最も増加率が高かった「バー・キャバレー・ナイトクラブ」は、新型コロナ鎮静後における接待や飲み会などの機会減少の影響を示唆している。(記事:県田勢・記事一覧を見る)
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