賃上げ見込み企業が過去最多、賃上げ率は4.16% 帝国データバンク

2024年2月24日 18:40

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 帝国データバンクは21日、「2024年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の結果を発表し、「賃金改善を見込む」とする企業が過去最高の6割に達したことが分かった。試算された賃上げ率は平均4.16%。日経平均株価がバブル期の最高値を超えたものの、国内消費者においては実感がないとの声も多い。「失われた30年」を抜け出るには、物価上昇を上回る賃上げが重要だ。

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 日経平均株価は21日、前日比836円高となり3万9,098円の終値をつけ、34年ぶりに史上最高値を更新した。前日に米エヌビディアが2023年11月~2024年1月期の好調な業績を発表。同社株が上昇したことを受け、朝から東京エレクトロンなどAI関連銘柄の株価が急騰。その後、トヨタや日立などの大型株も上昇し、初めて3万9,000円台をつけた。

 日経平均は、昨年末からすでに約17%上昇した。上場企業の業績は好調で、個人投資家の多くが新NISAを活用した株式投資を検討しており、また、中国に流れていた投資マネーが日本に振り向けられていることなどから、日経平均株価がまだ上がると予想する人は多い。

 一方、上場企業の好業績は、各社が海外での売上を伸ばしていることによる部分が大きい。また現在の株高は主に、海外投資家や、事業会社による自社株買いが支えており、資産効果は起きていないとの見方が一般的。国内経済の観点では、物価の伸びを上回る水準での賃上げが波及するかが鍵を握る。

 かかる状況下、帝国データバンクは21日、「2024年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の結果を発表した。賃金改善を見込む企業は6割と同調査開始以降で最も高く、賃金改善を見込まないとした割合は最も低かった。また従業員給与は、前年比で平均4.16%増えると試算された。

 「改善を見込む」とした割合を企業規模別に見ると、規模が大きくなるほど高い傾向はこれまでと変わらないものの、全てのカテゴリーで前年より高まった。従業員数21人以上の企業では「見込まない」とした割合が1割を下回った。

 業界別では、「製造」「運輸・倉庫」「建設」など人手不足が課題となっている業界で「見込む」とした割合が高かった。

 賃金改善を見込む理由は、「労働力の定着・確保」が75%と最も高かった。「従業員の生活を支えるため」、「物価動向」、「採用力の強化」が続く。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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