日東電工とエア・ウォーター、家畜バイオマス由来のCO2からギ酸製造へ

2023年12月25日 07:08

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資源循環のイメージ図と両社の役割(画像: 日東電工の発表資料より)

資源循環のイメージ図と両社の役割(画像: 日東電工の発表資料より)[写真拡大]

 日東電工とエア・ウォーターは19日、家畜ふん尿バイオマス由来のCO2から、牧草の腐敗を防ぐ「ギ酸」を製造する取り組みを始めたと発表した。CO2の有効活用と事業化を目指す。日東電工が持つCO2からギ酸を製造する技術と、エア・ウォーターのバイオガスから水素・CO2を生成する技術を組み合わせて、協働で行う。

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 技術実証などは、北海道十勝地区の鹿追町にある家畜ふん尿処理施設「鹿追町環境保全センター」で行う。同センター内には、エア・ウォーターが鹿島建設、日鉄住金パイプライン&エンジニアリングらと設置した、水素製造・供給施設の「しかおい水素ファーム」がある。同ファームは、2017年に開所して実証を行い、22年2月に法人化。燃料電池自動車への充填販売や工場への販売などを手がけている。

 ファームでは、鹿追町環境保全センターで家畜ふん尿を発酵処理する際に生成されるバイオガスを用いて、水素を製造している。家畜ふん尿由来の水素製造は、国内唯一という。

 バイオガスから水素を製造する工程でCO2が発生するため、今回そのCO2を用いたギ酸製造に取り組む。水素製造で発生するCO2自体は、もともとカーボンニュートラルに位置付けられる。ふん尿のもととなる牧草が、光合成でCO2を吸収しているためだ。今回の取り組みではさらに、CO2の利活用を目指す形となる。

 日東電工は2023年7月、カーボンニュートラルの実現に向け、ネガティブエミッションファクトリー構想を発表。その中で、製造工程で発生するCO2を回収・固定化して大気中のCO2を除去する、ネガティブエミッション技術の開発を加速させ、トータルソリューションとして提供することを目指している。同社は今回の取り組みを、その社会実装の1つと位置付けている。

 今回の取り組みでは、エア・ウォーターが水素ファームで発生したCO2を回収して、ギ酸製造プラントへ供給。日東電工が自社開発の高活性触媒を用いて、CO2からギ酸を製造する。触媒とギ酸の分離を容易化する製造手法でコストも抑えるという。

 ギ酸は、主に乳牛の餌となる牧草サイレージの腐敗を抑える調整剤として使われている。化石燃料由来のギ酸も存在し、また現在使用されているものの多くは、海外からの輸入に頼っている。

 今回の取り組みは、廃棄物となる家畜のふん尿や大気中のCO2活用、環境負荷低減、ギ酸供給の安定化などにつながる。日東電工とエア・ウォーターは今後、技術実証を進め、事業化に向けた検討を行う方針だ。(記事:三部朗・記事一覧を見る

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