仮想通貨に影を落とすバイナンス問題

2023年5月10日 08:15

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●バイナンスがビットコイン引き出し停止

 暗号通貨(仮想通貨)取引所最大手のバイナンスは8日、ビットコインの引き出しを2度に渡って停止した。前日に続く停止であり、大量取引に対応するためと説明している。

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 3月27日には米商品先物取引委員会(CFTC)が、バイナンスCEOのジャオ・チャンポン氏をCFTCの定める規則に違反しているとして提訴している。訴状には意図的に米国の規制を回避することに注力していたなどと書かれている。

 4月19日にはバイナンスから巨大な売り注文が発生した。イギリスの高いCPIが原因との説もあるが、本当の原因は分からず、不自然な動きだった。

 バイナンスが仮想通貨のリスクとなり得るのか?

●バイナンスとは?日本で使えない?

 バイナンスは2017年に香港で設立された、1日の取引量では世界最大を誇る仮想通貨の取引所である。登録はケイマン諸島である。

 設立者でCEOのジャオ・チャンポン氏は、高頻度取引ソフトウェアを開発した技術者である。

 日本人はバイナンスでの取引を禁止されているという噂があるが、バイナンスが日本の金融庁の許可を得ていないだけである。2022年11月に日本のサクラエクスチェンジを買収し、2023年6月から本格的に日本進出することが決定している。

 その移行期間である2022年11月から、バイナンスでは日本人の新規登録を停止している。

●バイナンスリスクとなるのか?

 4月19日、バイナンスが巨大な売り注文が発生した時に、ビットコインも約10%下落した。今回の取引停止でも下落している。

 バイナンスは5日にも、米司法省が対ロシア制裁で調査を開始したという報道もあった。かねて、武装組織によるマネーロンダリングの温床になっているという噂もある。

 バイナンスは過去にも取引停止があり、いつもシステム障害によるものとしているが、本当のことは分からない。

 ビットコインなどの仮想通貨は、SBVの破綻など金融危機で買われやすい傾向にあるが、バイナンスの一連の動きはリスクとして認識しておいた方がいいのかもしれない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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