地球に最も近いブラックホールを発見 マックス・プランク天文学研究所ら

2022年11月9日 11:33

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 ブラックホールは、1世紀以上前にアインシュタインが一般相対性理論を通じて存在を予言した天体だ。だが現在、ブラックホールは宇宙のあちこちで発見され、もはや宇宙のどこにでもありふれた存在と考えられている。

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 地球に最も近いブラックホールは、いっかくじゅう座のX1で、その距離は4700光年である。実はこの情報は2020年以降二転三転している。2020年5月にヨーロッパ南天天文台(ESO)は、地球から1000光年の距離にあるぼうえんきょう座の恒星HR6819が、ブラックホールを伴っていると報じ、これが地球に最も近いブラックホールとされてきた。だが2022年3月、別の科学者らによってHR6819はブラックホールを伴っていなかったと報じられたのだった。

 そして2022年10月末、マックス・プランク天文学研究所の科学者らが、地球から1600光年の距離に太陽質量の10倍のブラックホールを発見したと発表。英国王立天文学会の月例報告で公表されたこのブラックホールは、ガイアBH1と名づけられた。

 この天体は、欧州宇宙機関(ESA)のガイアミッションで得られたデータを詳細に分析して発見に至ったものだ。ガイアミッションは宇宙望遠鏡を搭載するガイア探査機により、恒星の位置や固有運動の正確な調査を目的とし、2020年までに約18億個の恒星の調査が進められてきた。

 ブラックホールにはX線を発する活動的なものと、何も発しない休眠状態のものがある。前者はX線観測で存在の特定が可能だ。一方で休眠状態のブラックホールは見えないため、連星系の恒星の固有運動を精密に調べ、その恒星が見えない重力源の周りを周回しているとしか考えられない場合、その重力源がブラックホールの有力候補として浮上するのだ。

 先に述べたように休眠状態のブラックホールは、存在そのものが見えないため発見が難しい。だがガイアが集めた観測データは膨大にある。活動的なブラックホールよりも多いと考えられている休眠状態のブラックホールが、ガイアのデータの解析によってこれから続々と発見され、地球に最も近いブラックホールの記録も今後どんどん塗り替えられていくことだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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