関連記事
土星の衛星ミマス、分厚い氷の殻の下に内部海か 米国での研究
headless 曰く、 土星の第 1 衛星ミマスで厚さ 21 ~ 31 km の氷の殻の下に液体の水が大量に存在することを示す研究成果を米サウスウエスト・リサーチ・インスティテュート (SwRI) の研究チームが発表した(プレスリリース、The Verge の記事、Mashable の記事、論文アブストラクト)。
巨大なクレーターのある外観から「デス・スター」とも呼ばれるミマスだが、地表から水を噴出するエウロパやエンケラドゥスのような内部海の存在を示す活動がなく、クレーターに覆われていることから氷の塊だと考えられていた。しかし、NASA の土星探査機 Cassini がミッション末期にミマスの秤動を観測し、内部海が存在する可能性も指摘されている。
潮汐の作用は天体の自転・公転のエネルギーを熱に変える。ミマスの秤動から推定される内部構造と一致させるには、潮汐熱が地下で水を液体の状態に保ちつつ、地表で厚い氷の殻を保てるだけの大きさである必要がある。研究チームは潮汐熱モデルを用い、分厚い氷の殻の下に液体の水が存在することを適切に説明できる数値法を開発したとのこと。
内部海では主星からの距離が一定の範囲内でなくても水を液体の状態に保つことが可能であり、ハビタブルゾーンを大幅に広げることになる。そのため、内部海を持つ天体 (IWOW) の発見は過去 25 年の惑星科学の分野で最も重要なものの一つだ。実際にミマスが内部海を持つとすれば、外から見ても内部海の存在がわからない IWOW の新しい種類ということになる。
チームでは地表の熱の流れが氷の殻の厚みによる影響を強く受けることも発見している。NASA の木星探査機 Juno はエウロパへのフライバイでマイクロ波放射計を用いた熱の流れの測定を予定しており、そのデータは氷の殻の厚みによる熱の流れへの影響を理解するのに役立つだろう。
スラドのコメントを読む | サイエンスセクション | サイエンス | 宇宙
関連ストーリー:
木星と土星、12月下旬には満月の見かけの直径の4分の1ほどまでに接近 2020年11月29日
土星の衛星タイタンが従来の推定よりはるかに速く土星から遠ざかっているという研究成果 2020年06月14日
土星の衛星エンケラドゥスから噴出した氷粒に水溶性有機化合物が発見される 2019年10月07日
※この記事はスラドから提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク
スポンサードリンク
- 銀河系最大の恒星ブラックホール発見 ESAのガイアミッション 4/23 08:56
- 中性子星で暗黒物質の存在を特定できる可能性 メルボルン大の研究 4/20 17:00
- 150万年もの年齢差がある不思議な連星系を発見 ヨーロッパ南天天文台 4/17 16:04
- 新星爆発、9月ごろまでに観測可能か NASA 4/10 18:00
- 超新星爆発騒ぎのベテルギウスの現状 3/27 15:47