土星の衛星ミマス、分厚い氷の殻の下に内部海か 米国での研究

2022年1月25日 17:48

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記事提供元:スラド

headless 曰く、 土星の第 1 衛星ミマスで厚さ 21 ~ 31 km の氷の殻の下に液体の水が大量に存在することを示す研究成果を米サウスウエスト・リサーチ・インスティテュート (SwRI) の研究チームが発表した(プレスリリースThe Verge の記事Mashable の記事論文アブストラクト)。

巨大なクレーターのある外観から「デス・スター」とも呼ばれるミマスだが、地表から水を噴出するエウロパやエンケラドゥスのような内部海の存在を示す活動がなく、クレーターに覆われていることから氷の塊だと考えられていた。しかし、NASA の土星探査機 Cassini がミッション末期にミマスの秤動を観測し、内部海が存在する可能性も指摘されている。

潮汐の作用は天体の自転・公転のエネルギーを熱に変える。ミマスの秤動から推定される内部構造と一致させるには、潮汐熱が地下で水を液体の状態に保ちつつ、地表で厚い氷の殻を保てるだけの大きさである必要がある。研究チームは潮汐熱モデルを用い、分厚い氷の殻の下に液体の水が存在することを適切に説明できる数値法を開発したとのこと。

内部海では主星からの距離が一定の範囲内でなくても水を液体の状態に保つことが可能であり、ハビタブルゾーンを大幅に広げることになる。そのため、内部海を持つ天体 (IWOW) の発見は過去 25 年の惑星科学の分野で最も重要なものの一つだ。実際にミマスが内部海を持つとすれば、外から見ても内部海の存在がわからない IWOW の新しい種類ということになる。

チームでは地表の熱の流れが氷の殻の厚みによる影響を強く受けることも発見している。NASA の木星探査機 Juno はエウロパへのフライバイでマイクロ波放射計を用いた熱の流れの測定を予定しており、そのデータは氷の殻の厚みによる熱の流れへの影響を理解するのに役立つだろう。

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