Ia型超新星観測データから求めた宇宙の膨張の歴史 国立天文台

2021年5月19日 08:55

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今回の研究の模式図。時代とともに変化するハッブル定数のイメージ (c) 国立天文台

今回の研究の模式図。時代とともに変化するハッブル定数のイメージ (c) 国立天文台[写真拡大]

 国立天文台は14日、ハッブル定数の時間的変化に関する研究結果を発表した。宇宙のあらゆる場所に分布しているIa型超新星の多数の観測データ分析を通じて、この超新星が存在している位置におけるハッブル定数を導出したところ、地球から超新星までの距離とハッブル定数に何らかの相関性があることを見出したと言う。

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 今回発見された事実は、超新星までの距離が、すなわちそこから発せられた光がそこを出発した時代(距離が遠ければ遠いほどその光は昔に発せられたことを意味する)と同義になるため、宇宙は誕生から経過した時間に応じてハッブル定数を変化させてきたことを明らかにしている。従来ハッブル定数は場所によって変化することは知られていたが、誕生からの経過時間との相関性らしきものを示唆したのは、これが初めてである。

 ところでハッブル定数とは、宇宙空間がどのくらいの速度で膨張しているのかを表す指標であり、現在のハッブル定数の逆数が宇宙の年齢ということになるとされている。

 またIa型超新星は白色矮星の激しい爆発の結果生じるもので、白色矮星は太陽質量と同程度(1.38倍以下)の恒星が核融合を終え、寿命が尽きた状態の星である。白色矮星の質量は均一であるため、Ia型超新星はピークの明るさが一定しているという特徴を持つ。

 つまりこの超新星の明るさが分かれば、地球からの距離を特定できるのだ。しかも明るさは太陽の100億倍にも達するため、かなり遠くの宇宙にあってもその光は地球まで届く可能性が高い。

 ただし、ハッブル定数と宇宙誕生からの経過時間との相関性を厳密に論じるには、まだまだデータの蓄積が必要と言う。もしもハッブル定数の時間との相関性が明確になるのであれば、宇宙が誕生して現在に至るまでの時間経過は138億年と断言ができなくなるかもしれない。

 宇宙の年齢が138億年であることが定説となってきたのは比較的最近のことであり、以前は宇宙の年齢が180億年と言われていた時代もあった。また最近ではビッグバン以前の宇宙について論じる学者も登場してきており、いったい宇宙の始まりがいつだったのか、ビッグバンではなかったのか一般人にはますます宇宙論が理解しづらい世界に向かいつつあるようだ。

 今回の研究結果は、米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル』に5月17日付で公開された。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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