バフェット氏が日本の5大商社に投資 その背景とは

2020年9月4日 11:54

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●5大商社株の約5%を取得

 オマハの賢人・ウォーレンバフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイ社が、日本の5大商社の株式5%超を取得したと発表した。

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 バークシャー社の発表によると、約1年間かけて取得したとしている。長期保有も視野に入れており、今後もさらに保有比率を高め、最大で9.9%まで高める可能性もあるという。

 これまでお気に入りだったはずの航空株や銀行株売却の一方で、否定的だった金投資など、コロナ禍での投資に注目を集めるバフェット流が、今回の日本商社株投資でまたしても市場を驚かせた。

●日本の5大商社とは?

 商社とは、輸出入貿易と国内の物資の販売を業務の中心とした会社で、特定の分野に特化した専門商社と、幅広い商品・サービスを取り扱う総合商社に分けられる。

 その中でも長い歴史を持ち、日本を代表する総合商社が、三菱商事・三井物産・住友商事・伊藤忠商事・丸紅の5社で、日本の5大商社呼ぶことが多い。

 過去には10大商社と呼ばれていた時代もあったが、業界内の統廃合や事業領域の縮小などを経て、現在は5大商社に豊田通商・双日を加えた7大商社体制とも言われる。

●バフェット氏の狙いは?

 バフェット氏が資源に注目していることは間違いないだろう。7月には米ドミニオン・エナジー社から天然ガス事業を買収した。今回の商社株投資もエネルギー部門のアベル副会長の意向があったかもしれない。

 日本の総合商社は事業が多岐にわたり、投資家から理解しづらいという声もあるが、収入の大部分をエネルギーと資源から得ている。商品価格と貿易の流れが近々回復するという見方もあっての投資との見方もある。

 また資源の価格に関係なく、日本の商社は株価純資産倍率(PBR)が低く、割安であり、高配当・高利回りという点がバフェット氏にとって大きな要因だったとも考えられる。長い歴史を持つ安定性や、多角事業の強み、優秀な人材が集まりやすいなどいった点も背景にあるのではないか、という分析もある。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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