すばる望遠鏡、超広視野多天体分光器の試験観測を実施

2020年3月16日 06:27

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超広視野多天体分光器PFSの模式図 (c) PFS プロジェクト/カブリ数物連携宇宙研究機構/国立天文台

超広視野多天体分光器PFSの模式図 (c) PFS プロジェクト/カブリ数物連携宇宙研究機構/国立天文台[写真拡大]

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 光害等により夜空が明るいため、地上から遠方の天体を観測するのは困難を伴う。東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構を中心とした7カ国12機関が共同開発している、超広視野多天体分光器では、遠方の天体を広視野で一度に捉えることを可能とする。国立天文台が運営するすばる望遠鏡は、超広視野多天体分光器の一部であるカメラの試験観測を実施したと報告している。

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■遠方の天体の様子を明らかにする分光器
 遠方の天体から放射される可視光を含む電磁波は、宇宙膨張により赤方偏移が生じる。そのため、赤外線の観測が遠方の天体を知るためには重要になる。問題は、遠方宇宙から放射された電磁波が大気によって遮られることだ。そのため大気の影響を受けない宇宙望遠鏡や、国立天文台が運営するすばる望遠鏡のように影響の小さい場所での観測が実施されている。

 光害も天体観測にとっての障壁となる。そこで天体が確認できる方向から光を切り取り、分光することが求められている。すばる望遠鏡に分光器を搭載するプロジェクトは、自身がもつ超広視野と大集光力を最大限に活かし、最大で2,400個もの天体からの光を一度に分光可能にする。これにより、従来と比較し視野が50倍、同時分光天体数が20倍と圧倒的な性能向上が実現できるという。

■2400本の光ファイバーを使用
 今回発表されたのは、2022年に運用予定の超広視野多天体分光器PFSの一部である、メトロロジカメラによる3度目の試験観測の詳細だ。2019年8月に実施された試験観測では、装置の一部やソフトウェアなどが改善され、空気の乱れの影響を受けずに像の位置測定が可能になった。

 PFSには約2,400本の光ファイバーが使用され、各ファイバーが10数マイクロメートルの精度で観測対象の星や銀河を捉えるという。各ファイバーの位置を正確かつ素早く測定することをメトロロジカメラが担う。

 すばる望遠鏡ですでに運用されている超広視野主焦点カメラHSCと開発中のPFSによる、大規模なサーベイ観測計画SuMIReが予定されている。これにより、遠方銀河や星などのデータをもとに、ダークマターやダークエネルギーの正体、銀河の進化プロセスの解明が期待されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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