岡山大らが柿の全ゲノム解読 大量絶滅期に性を獲得

2020年3月5日 12:15

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柿やほかの植物の進化過程でみられる全ゲノム倍化(写真:岡山大学の発表資料より)

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 岡山大学は2月29日、柿の野生種であるマメガキの全ゲノム配列を解読したと発表した。性決定遺伝子は、6,000万年前から7,000万年前にかけての大量絶滅期に、種が性を獲得し生存した可能性があるという。

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■性別決定遺伝子が最初に発見された柿

 アジアを中心に世界的に消費されている果物が柿だ。「タンニン」と呼ばれる渋み物質を大量に蓄積する果実であることから、柿は実用的にも科学的にも価値が高いという。加えて、100年以上も謎だった植物の性別を決定する遺伝子が最初に発見されたのも、柿である。

 種の多様性を維持するための仕組みとして、雄や雌といった性の決定が発達してきた。だが性決定の仕組みは種ごとに異なり、種の進化のなかで独立に形質が獲得されていった。そのため最初に性決定メカニズムが発見された柿は、作物の栽培や育種にとってパイオニア的な存在だという。

 その一方で遺伝子やゲノム情報のデータベースが存在しないなど、遺伝学的な基盤はほとんど整備されていない。柿における性決定遺伝子の進化過程には、謎が多く残るという。

■生物の最終大量絶滅絶滅期に誕生した性

 岡山大学、米カリフォルニア大学デービス校、かずさDNA研究所、京都大学の研究者から構成されるグループが注目したのが、「ゲノム」と呼ばれる基本となる染色体のセットを2つもつ(二倍体)カキ属の植物「マメガキ」だ。

 ゲノムが倍化すると遺伝子数が増加するため、進化の可能性が広がるという。研究グループはマメガキの全ゲノム情報を解読した結果、進化の過程ですべてのゲノムが倍化した痕跡が発見された。

 ゲノムが倍化したメカニズムは、カキ属あるいはカキノキ科の植物に特異なものだが、Dd-αと名づけられたゲノム倍化は、他の植物種における同様の現象と同時期に発生したことも判明した。これは生物の大量絶滅期とも一致するという。

 この大量絶滅期は、天体の衝突による気候変動が原因だと予想されている。今回の発見は、水から移動できない植物はゲノムを倍加し、新しい形質を手に入れたもののみが生存した可能性を示唆するという。

 研究グループはゲノム倍化に伴って獲得した遺伝子群を調べたところ、カキ属の性決定遺伝子が含まれていることが判明した。もともと性の仕組みをもたなかったカキ属は、特有のゲノム倍化によって性決定の仕組みを獲得しようと進化したことを示唆するという。

■データベース公開で品種改良への活用も期待

 研究グループはすでに、柿の全ゲノム・全遺伝子情報を載せたデータベースを公開している。これにより、柿がもつの渋みや形の多様性等が明らかになり、品種改良にも役立てられるだろうとしている。

 研究の詳細は、米科学誌PLOS Geneticsにて2月29日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

関連キーワード京都大学染色体ゲノム遺伝子DNA岡山大学

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