宇宙線の起源となる「種」生成メカニズム、新モデルで説明可能に 東大などの研究

2020年2月22日 19:13

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研究グループが提案したモデルの概要(写真:東京大学の発表資料より)

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 「宇宙線」と呼ばれる高エネルギーの粒子が地球に飛来しているが、起源となる「種」の生成メカニズムは40年近くも謎だった。東京大学は17日、宇宙線の種となる粒子の生成メカニズムを、提案モデルにより明らかにしたと発表した。

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■宇宙から飛来する高エネルギー粒子

 宇宙線の大部分は陽子であり、ヘリウムやより重い元素、電子等も一部含まれるが、長年その起源は謎だった。だが現在では、数千テラボルト以下の比較的低エネルギーの宇宙線(銀河宇宙線)は、天の川銀河で起きた超新星爆発が原因だとする説が有力である。

 超新星爆発後に星の外層が超高速で膨張し、残骸物質を形成する。高速で放出された「種」により衝撃波が発生し、高エネルギー粒子が加速するという。

 宇宙線の種から電子が加速するメカニズムは「フェルミ加速」と呼ばれ、標準モデルとして位置づけられている。だが種を作るメカニズムや量については、モデル提唱後も謎のままだった。とくに地球近傍での衝撃波からは種となる電子すら検出されず、遠方から飛来する宇宙線による衝撃波との矛盾が、研究者を長年悩ませてきたという。

■検証を可能にしたNASAの衛星

 東京大学、千葉大学、大阪大学の研究者らから構成されるグループは、従来無視されてきた非常に短いスケールの衝撃波を考慮に入れた電子加速のモデルを提唱した。モデルを検証するために、米航空宇宙局(NASA)のMMS衛星の観測データを活用。2015年に打ち上げられたMMS衛星は、高い時間分解能をもち、地球に近い宇宙空間での電場や磁場、エネルギー粒子等を観測している。

 解析の結果、衝撃波の速度により、宇宙線の種となる電子の有無が関与することが明らかになった。超新星爆発の残骸から放出された衝撃波の場合、光の速さ近くまで電子が加速され、宇宙線の種の存在が説明される。他方地球近くの衝撃波の速度は10分の1程度で、種となる電子が存在しないという。

 同モデルにより、宇宙線の種となる粒子の量や宇宙線の総量が推定可能になるという。今後さらに精緻な観測解釈により、宇宙線加速の全貌が深く理解できるだろうとしている。

 研究の詳細は、米Physical Review Letters誌にて14日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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