三菱・スペースジェット(旧MRJ)が最も恐れるのは「時代のニーズ」(3/3)

2020年2月18日 16:41

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「スペースジェット」(画像: 三菱航空機の発表資料より)

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 純ジェットエンジンとYS-11を比較すると、第一に「スピードが違う」ことが挙げられる。YS-11の巡行スピードはゼロ戦と大して違いはない。一方で、ボーイング・727は現代のジェット旅客機とほぼ同じレベルにあった。これは旅客運航においては商品力でかなわない。

【前回は】三菱・スペースジェット(旧MRJ)が最も恐れるのは「時代のニーズ」(2/3)

 そしてあまり論じられないことだが、YS-11は短距離離着陸機であるため、滑走路は短くて済みローカル空港でも使用できたが、問題は沈下率にあった。YS-11のグライダーのような細長い翼は大変優雅に見えるのだが、降下を始めてもなかなか沈まない性能なのだ。それは短距離路線において、巡航高度を目的地近くまで保たないで手前から降下することとなり、燃費では不利になるのだ。

 B727などは、前縁スラットや後縁フラップなどを工夫し、翼を小さく造って沈下率を大きくしている。上昇や離着陸の時などは、大きくフラップやスロットを開いて短い距離で済ませる技術が開発されていた。

 こうしてYS-11は世界の主流からは取り残され、ローカル線で就航できたのみであった。世界は一気に純ジェット化に進んでいたのだったが、YS-11は開発時点で就航時の「時代のニーズ」を読めていなかったのだ。

 これは、「マーケットリサーチ(MR)の誤り」と済ませてしまえるほど単純ではない。旅客機の乗客がこれほど急速に増え、エンジン技術や空力技術がこれほど急速に進歩するとの認識をどうやって持てばよかったのか?

 現代における「自動車の先進性をどこまで予測できるのか」といったことと同様、マーケットリサーチの問題以上に、商品に「先進性」を持たせることが「運命を分ける」と言えるのであろう。こうした基礎認識、つまり「MRを超える将来像」を持てると、EV・自動運転の将来性などを考えることが出来ると言える。

 現在、納入が遅れている三菱重工・スペースジェットが目指してきたのは、「CO2排出量を減らす」ことなど「地球温暖化防止」「省エネ」の方向性である。それに「軽量化」「燃費」などに「コストダウン」の考え方をプラスした製造技術である。

 それがこれから時代が変わり、短距離、ローカル路線で必要とされる性能において、「なにが主眼であるのか」について「ズレ」はないのだろうか?また、「メンテナンス性」などについては要求が厳しくなってきてはいないのだろうか?(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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