観測史上最もホットな惑星KELT-9bで発生するメルトダウン NASAの研究

2020年1月29日 07:22

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主星である恒星KELT-9(左)と惑星KELT-9b(右)の想像図。(c) NASA/JPL-Caltech/R. Hurt (IPAC)

主星である恒星KELT-9(左)と惑星KELT-9b(右)の想像図。(c) NASA/JPL-Caltech/R. Hurt (IPAC)[写真拡大]

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 地球から600光年離れたはくちょう座の8等星KELT-9は2014年、1.5日周期で明るさが0.5%だけ暗くなる現象が捉えられた。この恒星の明るさが変化する原因の究明が、2015年に東京大学ならびに国立天文台岡山天体物理観測所の研究者たちによって始められた。2017年には、これが惑星によるものであり、その惑星の質量は木星の2.9倍もあり、直径も木星の1.9倍に達することが確認された。

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 この惑星はKELT-9bと命名されたが、非常に驚くべき特徴を持っていた。その特徴とは、昼間の温度が実に4300度に達するのである。この数値は太陽の表面温度よりもやや低いものの、赤色巨星であるベテルギウスやアンタレスの表面温度よりは高く、人類の観測史上最も高温の惑星であることが判明した。

 このような高温の星がなぜ恒星に分類されず、惑星に分類されてしまうのか不思議に思う読者も多いことだろう。どんなに表面温度が高温であったとしても、この星は自ら光を発して、高温に達しているわけではない。だから恒星の定義からは外れ、惑星と定義されるのである。

 KELT-9bがこのように昼間非常に高温となる理由は、主星であるKELT-9の表面温度が1万度と非常に高温であることや、この主星に非常に近い軌道(地球と太陽の距離の30分の1程度)を周回していることによる。

 これだけ近いと惑星は常に同じ側を恒星に向ける姿勢で公転する。常に同じ側が熱せられる構図なのだ。そして恒星に面している側は常に昼間で、その反対側が常に夜となる。

 NASAの研究者らはSpitzer宇宙望遠鏡を用いて、このKELT-9bの温度プロファイルの解析を試み、この惑星の温度分布の詳細を明らかにした。特にKELT-9bの昼間と夜の温度分布は非常に興味深いもので、実に温度差はほとんどないと言う。

 惑星の表面はKELT-9からの放射線にさらされ、さらには高温のため激しい気流が発生する。気流は高温部からより温度の低い部分へと流れを作る。またこのような高温では水素は分子状態を保てず分解してしまう。だが、この原子状態の水素は気流の流れでより低い温度の部分に移動すると分子に再結合すると考えられている。

 このようなことがこの惑星で起こっているという推論が正しければ、最高温部は真昼の位置から少しずれという、何とも奇妙な結論が導かれることになる。いずれにしても、太陽系では全く考えられない奇妙な惑星であることに間違いない。

 もちろんKELT-9bでは生命の誕生も全く期待できない。それでも研究者たちがこの惑星を研究し続けるのは、人類が持っている本能とも言うべき好奇心があるからなのだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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