子年相場の「有力テーマ」を考える (上)

2019年12月25日 17:26

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 12月初旬、兜町を歩いた。「子年相場の注目テーマ」を確認するためである。冒頭から余談だが、祖母からこんな話を聞いてから私は干支の最初に子(ネズミ)が登場していることを忌み嫌っている。

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 「神様が動物に、来年1月1日に集まってきなさい。早い順にご褒美をあげるからと言った。要領のいい子は丑(牛/私の干支)の背中に乗り、到着寸前にピョンと飛び降り1番になった。ご褒美は干支のいの一番」「なぜ干支に猫はいないのか。子が神様のところに行くのは1月2日だと嘘をついたから。以来、猫はネズミを目の敵にするようになった」。

 論拠のある話ではなさそうだが、爾来私の頭の中には「子は要領がいい。目的を果たすためには嘘もつく」という思いがインプットされている。

 ゆえに「子年相場のテーマ探しでも、騙されないぞ」と茅場町界隈を歩いた。10社ほどの内外の証券会社を訪ねた。彼らが来年のテーマとして指折り数えた中で8割方が「5G(次世代無線移動通信システム)関連」を最初に挙げ、「2020年に携帯大手が5G専用回線の割り当てを受ける。5G元年。(テーマから)外せるはずがない」としこう続けた。

 「総務省の試算では2025年に5G回線は11億余に達し、世界の人口のカバー率は34%。日本経済に対する効果は46兆8000億円に及ぶという」。

 なるほど、見逃しにはできないテーマである。既にNTTドコモでは今年のW杯ラグビーの動画通信で実証実験を行っている。NTTドコモ・ソフトバンク・KDDIは、関連代表企業。

 だが既に携帯大手の株価動向は早々に織り込み、今年後半以降上昇基調に転じている。見切り発車している企業について記しても面白くない。そこで考えた。

(I)5Gの「超高速」「多数同時接続」「超低遅延」という3大特徴が強く生かされる技術分野は何か。

(II)関連銘柄で未だ「出遅れ感」があり、かつ個人投資家が投資しやすい低位株は何か。

 ストラテジストには「テーマ」に続き5G関連の「I」「II」を聞いた。Iについては「自動運転技術」「VR・AR技術」「ドローン技術」「IoT技術」が指折り数えられた。トヨタやJR東日本がまずは頭に浮かんだ。IIでは複数のストラテジストから、アンリツの名を耳にした。

 ちなみに言い伝えられている子年相場の格言は「繁栄」。過去5回のうち年足陽線3回、陰線2回。平均上昇率は22.8%。但し直近の1996年/2008年は、水を差すようで恐縮だが陰線で平均下落率は22.9%。それだけに有力テーマ株には、そそられるものがある。

 アンリツは「通信系計測器の有力企業で、携帯電話や基地局に強い」と称される。期初計画は「5G関連の開発費が重い」という理由から減収・減益(営業利益:11%強減100億円)で立ち上がった。が、中間期開示と同時に「通期上方修正(同:2.3%増115億円)」に踏み切った。

 その理由をアンリツでは「5G関連のモバイル市場向け開発用計測機器が順調に推移。特にアジア地域において、5Gの開発需要が期初計画を上回る見通し」とした。「基地局の5Gの電波強度測定器開発」なども伝えられている。5G関連のど真ん中に位置する企業といえる。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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