血液検査だけで高精度ながんの遺伝子検査を可能にする手法 京大らが開発

2019年10月31日 12:35

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今回の研究の概要(画像:京都大学報道発表資料より)

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 京都大学、理化学研究所等の共同研究グループは、血中遊離DNAに存在する突然変異を高精度に検出できる手法を開発したと発表した。研究グループでは、これまでの生検等に比べ患者への負担が少ない血液検査によって、高精度のがんの遺伝子検査が可能になり、がんのゲノム医療におけるリキッドバイオプシーを大きく進展させるものと期待している。

■リキッドバイオプシーとは?
 がんの治療においては、がん細胞のどの遺伝子に突然変異が生じているのか確定することが重要になる。例えば、抗がん剤の一種である分子標的薬は、がん細胞のどの遺伝子に突然変異が生じているのかによってその効果に大きな差が生じる。

 そのため、がんの遺伝子検査が重要になるわけだが、これまで、がんの遺伝子検査のための生検等は患者への負担が大きかった。そこで登場したのが「リキッドバイオプシー」と呼ばれる方法だ。

 リキッドバイオプシーでは、患者の血液、唾液、尿等を使ってがんの遺伝子検査を行う。例えば、がん患者の血液中には白血球等の正常細胞のDNAに混じってごく微量だががん細胞のDNAが含まれている。そのためこのような血中遊離DNAを使ってがんの遺伝子検査を行うことができる。

 しかし、これまでこの血中遊離DNAを使ってがんの遺伝子検査を行おうとすると、大きな問題があった。

 DNAの読み取りには、次世代シークエンサーという装置を使うのだが、この次世代シークエンサーが曲者で、ときに読み取りミスを犯す。ところが、正常細胞のDNAに比べてがん細胞のDNAは、血中遊離DNAの中にごく微量しか含まれていない。そのため、突然変異が見つかった場合に、それが本当の突然変異なのか、それとも単なる読み取りミスなのか、判別が難しいのだ。

■eVIDENCEソフトウェアとは?
 そこで、研究グループは血中遊離DNAの1つ1つにそれぞれ異なる塩基配列を持つDNAを組み込んだ。この組み込んだDNAは分子バーコードと呼ばれる。

 DNAを読み取るためには、DNAの量をある程度まで増やさなければならないが、分子バーコードを付けられたDNAはその分子バーコードが付いたままで増える。そのため、突然変異が検知された場合に、同じバーコードが付いた他のDNAと対照することで、それが、本当の突然変異なのか、それとも単なる読み取りミスなのか、解るという仕組みだ。

 こうして、研究グループは血中遊離DNAにおける突然変異を高精度で検知することに成功した。この手法を使えば、生検等によるこれまでの方法よりも重要な突然変異をより多く検知することが可能だという。

 この手法はがんや遺伝子の種類に制約されることなく応用が可能で、研究グループでは、リキッドバイオプシーによるがんのゲノム医療に大きく貢献できるものと期待している。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る

関連キーワード理化学研究所(理研)京都大学ゲノム遺伝子がんDNA

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