日本の温暖化対策は意外と手頃? 経済への影響は小さい 京大などが算出

2019年10月22日 17:46

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 地球温暖化の対策として、日本が打ち出している「2050年に温室効果ガス排出量を8割削減」の目標について、京都大学などの研究グループは21日、目標を実現するためのコストは従来考えられていたより、かなり少なくて済むとの研究結果を発表した。研究成果は国際学術誌「ネーチャーコミュニケーションズ」オンライン版に掲載された。

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 地球温暖化対策では、「地球の平均気温の上昇を産業革命以前に比べ2度より十分低く保ち、1.5度以下に抑える」という目標を掲げたパリ協定が、2016年に発効。その達成に向けて、日本は2050年に温室効果ガス排出量を80%削減するという目標を打ち出している。

 しかし、これまでの研究では「80%削減するには巨額なコストがかかり、GDPが2~8%減少する」などの試算がなされ、「温室効果ガス削減は大きな経済的負担となる」という指摘もされている。

 今回、京都大学工学研究科の藤森真一郎准教授や滋賀県立大学環境科学部の白木裕斗講師、立命館大学理工学部の長谷川知子准教授らの研究グループは、新たなシミュレーションモデルを使ってエネルギーシステムの変革に必要なコストを試算した。

 同グループが使用したモデルでは、従来のモデルとは異なり、エネルギーシステムや経済システム、発電システムの変化を統合して扱い、エネルギーシステムの変革とそれによる経済システムへの影響を整合的にシミュレーションできる。

 その結果、2050年に温室効果ガスを80%削減すると、再生可能エネルギーに依存する割合が高くなり、風力・太陽光の割合は合わせて50%程度にまで増大。そのため、大量の蓄電池が必要になることが判明したという。それが実現した場合の経済的損失はGDPの0.8%にとどまり、経済に大きな影響を及ぼすものではないことがわかった。

 同グループでは今回の結果について、「日本政府は温暖化による気候変動を防ぐため、長期的な目標を掲げているが、これが技術的、経済的にも十分可能であることを示せたことは、日本社会にとって重要なこと」としている。

 グループでは今後、今回使ったモデルを用いて、IoTや自動運転など技術の進歩を含む社会の変化が、気候変動にどのような影響を及ぼすのか研究していくという。

関連キーワード京都大学IoT(Internet of Things)蓄電池国内総生産(GDP)地球温暖化パリ協定立命館大学

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