ゼニゴケの無性生殖に重要な遺伝子を発見 神大などの研究

2019年10月14日 10:02

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クローン繁殖体(無性芽)によるゼニゴケの栄養繁殖。(画像:神戸大学発表資料より)

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 無性生殖を行う植物は珍しくない。その中の一種にゼニゴケがあるのだが、そのゼニゴケの無性生殖に必要とされる遺伝子「KARAPPO」を、神戸大学などの研究グループが発見したというのが今回の研究である。

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 植物の無性生殖の中で、根・茎・歯などの栄養器官から独立して新しい個体を発生させるものを栄養生殖という。分かりやすく言えば、芋や球根などのことである。もっともイモと一口に言っても、サツマイモは塊根、ジャガイモは地下茎、ヤマイモはムカゴによって増えるのであり、イモというのはその総称である。

 さて、問題だったのは、一旦分化を生じた栄養器官の細胞から、どのようにして独立した個体が作られるのか、ということであった。

 研究グループは、コケの一種であるゼニゴケに着目した。ゼニゴケは約5億年前に緑藻から進化した、陸上へ進出したばかりの頃の太古の植物の特徴を残す種である。

 ゼニゴケは、体表面に杯状体と呼ばれる器官を作り、その中に無性芽を多量に作り出すことで栄養繁殖を行う。その無性芽は、杯状体の底に位置する表皮細胞が、非対称分裂と呼ばれる風変わりな細胞分裂を起こすことで形成されるのだが、その分子レベルでのメカニズムはまったく分かっていなかった。

 今回、杯状体を形成するものの中で無性芽を形成しない変異ゼニゴケ2系統の遺伝子を調べたところ、両者とも同じ場所に変異があった。その遺伝子をKARAPPOと命名し、変異のない通常のゼニゴケのKARAPPO遺伝子を導入したところ、無性生殖は正常に行われた。それで、KARAPPO遺伝子が無性芽の形成に必要不可欠であると分かったのである。

 今後の研究としては、KARAPPOが制御するROPシグナルの伝達経路を明らかにし、体細胞から新たな個体が生み出される具体的なメカニズムを解明することが期待されるという。なお、研究の詳細は、Current Biologyに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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